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2005年06月10日
経営課題について(8)リスクマネジメントの徹底Ⅰ
リスクマネジメントはいま最も注目されています。
医療過誤訴訟が増えていることが原因でもなく、結局は医療の質が問われているからであると思います。確かに訴訟は増える傾向にありますが、だからリスクなのか…、ということでは少し悲しいですよね。
さまざまな医療過誤事件がきっかけにはなっていますが、やはり国民の意識が医療に向いてきていると考えるのが自然です。
医療過誤訴訟については、さまざまな話があるので、ここでは、訴訟における説明義務違反(他の2つのポイントとして注意義務違反、看護観察義務違反といったもんがあります)について説明します。これは医療事故が発生したことが前提となりますので、事故を抑止するというところから入るのではなく、裁判を起こす患者さんを少なくするということを目指しています。
したがって、別途事故を抑止する取り組みが必要となります。但し、上記の対応をしていくと自然に事故に対する意識が変革し、結果として医療事故が低減しますから、その意味では間接的には医療事故防止に役立つのかもしれませんが…。
説明義務違反は、患者さんが納得していれば事故が発生しても訴訟にならないという意味では、他の訴訟の性格とは異なるのではないかと考えています。すなわち、患者さんの自己決定権を奪取することにより、事故が脚光を浴びることになり、他の選択肢が多くあったのにもかかわず、というところから当該手術の適正性が議論されることになることになると考えます。
したがって、ある事故があり、いたしかたない、という患者さん側の納得があれば、説明義務違反を起因とする訴訟は起こらない、但し、明らかに他に過失がある、あるいは瑕疵があるということが内部的に告発されたり、あるいは第三者がみても明らかなものが訴訟になる、と考えられます。
であるから、事故であるにもかかわらず、表にでない、また、出ても確率や術式への依存が大きくあり、患者さん側が納得しているのであれば、訴訟にならないと考えます。
結局訴訟対応する(訴訟対策ではなく)ためには、勿論、事故を減らすための活動(いわゆるリスクマネジメント)と、患者さんに常に納得してもらうよう努力すること、の2つが必要であることが判ります。
なお、納得してもらうというと、どうしてもインフォームドコンセントの話になりがちですが、実際には納得しないことが数多くあり、あの病院の先生はよくしてくれたけれども、あの看護師は許せないといったことになってしまうことがあるようです。
したがって、実行すべきは、納得してもらうための場面や手段について院内で明確にしたうえで、それらを徹底して教育、評価、実践していくこと以外にはありません。
1.院内での入院から退院までの説明機会の列挙
2.いままでどこであったとしても患者又は家族からどのようなことを聞かれたのかについて取りまとめ
3.クレームの収集及び分析
4.1~4の議論、いってよいことと、いってはいけないことの峻別
5.4のルール化及びマニュアル化、その他の道具づくり
6.個人別教育及び評価
といったことができなければなりません。こうしたことができることによって、あらゆる場面での患者さんに対する説明の不統一をなくし、わからないことを説明せず(それは申し訳ありませんが先生にお聞き下さい)、また説明すべきところはすべて説明し、承諾を収集し、かつ同意を得ておくことが必要となります。
A(看護師)、B(患者家族)、C(医師)
B「うちの主人は大丈夫ですよね?」
A「C先生はすごく腕の良い先生なので、任せておけば大丈夫ですよ」
B「安心しました」
C「手術に関しては…」
B「先生にお任せします」
C「わかりました(説明せず)」、「ではここに手術についての同意をしたというサインをお願いします」
裁判官 「それでは、当時C医師からは説明を聞かなかったのですね?」
B「はい、結局はサインをしただけで、詳しくお聞きしていません」
C「先生に任せますと原告患者家族は確かにいったし…、それで…」
ということになることもあります(続く)。
投稿者 石井友二 : 2005年06月10日 15:01
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