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2005年07月31日

経営課題について(46)入院比率の向上

入院比率を向上させることにより病床利用率を高めます。ここでいう比率は、外来で来院した患者さんのうち入院する患者さんの比率をいいます。

平均在院日数を短縮することが急性期病院の条件となったいま、病床利用率を高めていくことは、病院経営を堅実に行なうためのポイントとなります。

入院比率を高めることは、意図的に行なうことではありません。入院対象患者が来院しなければなりません。入院する必要があるなんらかの疾患をもった患者さんにどのように来院していただけるかということがマネジメントの基本となります。

プロモーションと地域連携が必要です。プロモーションによって自院の特徴を地域に伝えていきます。
プロモーションはHPからはじまり、パンフレット、院内セミナー(教室)、院外セミナー、ラジオ、テレビ、雑誌、出版、新聞等々のメディアを利用することも含め、さまざまなマーケティングやSPを対象としています。

わたしたちはこうしたことができます。こんな人は検査に来てください、といったことを継続的に実施することが必要です。地域の患者さんや地域住民のために、どのようなことができるのかを徹底して検討し、開示していくことが必要です。

また、地域連携はいうまでもなく、自院の戦略を明らかにするとともに、どのような患者さんを一緒に治療していけばよいのかを明確に決定し、地域の診療所との連携を強化します。

勿論、病院との連携、施設との連携も対象となります。患者さんを紹介しただく、あるいは新規で来院した患者さんを逆紹介する、施設に紹介するなかで、自院の機能を明確にしていきます。

地域連携の詳細な記述はここでは避けますが、疾病管理をも含んだ地域連携がなければ外来患者や入院患者は増えません。

入院比率を高めるためには、明確なプロモーションと地域連携活動に関する戦略を確立することが必要です(続く)。

投稿者 石井友二 : 16:56 | トラックバック

2005年07月30日

経営課題について(45)待ち時間の短縮

待ち時間の短縮は古くて新しい課題です。
会計時のケースは、計算してもらい、会計を済ませて、薬をもらうまでの時間が対象となります。

計算の時間を短縮する…オーダリング、院外処方とする…医薬分業ということで対応している病院が多いようです。これで随分と患者さんは楽になります。

外来はどうでしょう。

外来は予約制を入れて対応することが時間短縮につながります。
しかし、予約制を導入しても、医師がその時間を遵守しなければ、結局あとあとになって患者さんの待ち時間が狂ってきます。医師が正しい時間のなかで診療するということは必然でしょう。

待ち時間をながく感じさせない方法は、混んでいる病院であれば椅子の数を多くする。雑誌を置く。テレビで担当医師のさまざまな疾病に関するレクチャービデオをながすといったことも効果があります。

また、自分の番号があと何人で呼ばれるということは、受付機で受付NOがわかっている患者にとってみれば安心できる材料です。ある大学病院はホワイトボードに本日の患者数、いま何番まで及びしています。といったことを表示していますが、こんな原始的な方法(?)でも患者さんは納得することができます。

ある病院では時間帯ごとに異なる色のカードを渡し、それで外来にながく待っている患者さんがいないかどうかを定期的に判断し、遅くなっている患者さんには会話をしながらケアをするといったケースがあります。病院の工夫によってさまざまな活動を行なうことができます。

なお、待ち時間がながいということは、院内に入ってから院外にでるということですので、診察だけではなく、検査や撮影といったものについての効率や待ち時間についても対象として考えておく必要があります。できるだけ検査を早くするためには、検査のフローを書き出し、どこを短縮するのかについての検討を行なわなければなりません。

放射線についても撮影時のフローをチェックできるのかについて検討したうえで、同様の処理を行います。撮影準備、着替え、撮影時、着替えといったながれを円滑にするための工夫が行なわれます。


結局は、目的を達成するための仕事の仕組みが合理的であることと、それを運用する個々のスタッフの技術技能が高いことが待ち時間の短縮を達成します。

これはとりもなおさず医療の質を高めることの帰結であることを理解しなければなりません(続く)。

投稿者 石井友二 : 15:38 | トラックバック

2005年07月29日

経営課題について(44)オーダリング導入

オーダリングを導入することには、いくつかの利点があります。

まず、最も大きい成果は、業務個々のフローの短縮及び迅速化です。一度に多くの作業を情報を利用して先行して実施することができるため、時間を短縮することができるのです。

具体的には投薬、注射、処置、検査、放射線、手術等の各オーダ機能を網羅し、ドクターの入力負荷軽減を図りながら、これらの業務が円滑に行われるし、またすべての結果を医事会計にも連動させることができるからです。

ここにおいては従来、いくつかの流れが紙ベースで存在し、それらについての管理が紙媒体で行われ、ある段階からシステムに載るといったかたちで業務がながれていましたが、それが一元化されること、転記や入力の工数削減が行われることによって、効率化が図れます。

画像診断システムと連動させることができれば、フィルムを検索する、探索するといった作業からも開放されます。何よりも鮮明な画像を確保するとともに、時系列で比較評価できることから、診断の質を高められることが大きなメリットであるt考えます。

オーダリングシステムにより、利便性が確保され、処理の効率性、ミスの減少が得られるとともに、最終的にはそのことによって生まれた付加価値を患者さんに振り向けることができると予想されます。ただし、現実には当初の入力が不得手な医師がいたり、PCを使わない医師がいたりして円滑に導入ができないケースもあるようです。

しかし、それらは目的が明確であり、患者さんへの利便性確保ができるのであればもろ手を挙げて賛成する医師や職員が多いと考えます。
最近は廉価なオーダリングシステムが発売されていること、また、電子カルテとの親和性も高くなっていることから、未だ導入しない病院は、投資効率あるいは投資効果を踏まえたうえで投資への経営意思決定をおこなうことが適当です(続く)。

投稿者 石井友二 : 22:42 | トラックバック

2005年07月28日

経営課題について(43)ISO取得

ISOといえば9001です。

勿論14000もありますが、医療の標準化を図るためのISOをまず取得することが得策です。医療機関でISOを取得しているところはまだ少ないと考えます。どちらかというと、病院機能評価を先に取得する、あるいは第三者評価は病院機能評価で十分である、といった考え方をもたれています。

しかし、病院機能評価とISOは確かに第三者評価ではありますが、まったく質が異なります。前者はあくまでも医療の仕組みや手順について具体的にチェックしていきますし、後者はあくまでも枠組みをどのように病院に当てはめていこうかという領域がメインです。

前者は医療マターの部分が数多く、ここに必要な医療の質を確保するための基本的事項を問うものであるし、ISOは、もともとは製造業から始まった経緯があり、品質保証をするために、目標を設定してコントロールしていくなかで、PDCA(機能評価でも対象とはしています)サイクルを廻しながら、常に是正を行っていこうという、どちらかというとマネジメントシステム(目標管理志向)の一つであるという思いがあります。

病院でISOをとることは、まさにチーム医療や品質保証という観点から意味のあることであると考えます。まずは病院機能評価を取得し、そのうえで(病院機能評価でも触れてはいますが、説明が弱い)マネジメントのながれをつくりあげていく必要がありそうです。

ISOの導入にあたっては、コンサルティング会社であれば、次の段階を経ることになります。
 ①マネジメント層との打ち合わせ
 ②院内説明会
 ③プロジェクトチームの編成
 ④プロジェクトチームからのヒヤリング
 ⑤プロジェクトチームの教育・訓練
 ⑥全職員へのトップマネジメントステートメント作成
 ⑦各部署の推進メンバーの教育・訓練
 ⑧プロジェクトチーム・推進メンバーによる改善活動
 ⑨模擬審査の実施
 ⑩認証審査受審
 ⑪受審後のメンテナンス
といったながれがそれです。


2000年バージョンのISOは、従来の書類をルールに基づいて整備することが基本的な活動ということではなく、品質保証目標を設定して、実際にうごきながら問題発見を行い、是正を行ってまた、次のプランを設定するといったながれのなかで運用されています。

病院機能評価にて網羅的なチェックを、そしてISOのよって品質保証のための継続的な是正を行える仕組みをつくりあげていくことができます。ただ、これらは結局は病院改革のスタートとしてしか考慮することはできず、こののちの体系的な病院改革が求められるところです。

大胆な戦略立案と、繊細な院内改革を行うときに、これら両者をうまく利用したなかで作業が進捗するということが理想です。貴院の今後の対応が、今後の病院改革の巧拙につながります。体系的病院改革の方向性やながれについて徹底的な組み立てを行ったうえで、病院機能評価取得とISO取得の両者を
行うことが得策です(続く)。

投稿者 石井友二 : 21:53 | トラックバック

2005年07月26日

経営課題について(42)病院機能評価取得

病院機能評価については、ここで語るまでもありません。

機能評価があるために、多くの経営課題についての気づきがあり、2000弱の病院が経営改革へのスタートを切ることができています。しかし、基本的には機能評価を取得することが目的化し、取得したことが免罪符のようになっている病院が多くあることも事実です。

我々がコンサルティングを受託する企業の8割は、すでに機能評価を取得しています。
しかし、それではまったく不十分であるということ、あるいはきっかけはつくれたけれども実質的に機能していない、といった理由により病院指導に入ります。

日常的なオペレーションにおける留意点について、仔細な部分の整備は特に問題は発生しません。審査のときにそれらができていれば実質的に経営上の影響が出現するものではないからです。しかし、例えば目標管理制度が機能していない、と言った場合には実務にも大きな影響がでてきてしまいます。

目標の設定方法が間違いであったために、病院の考えている方向とまったく異なる方向に職員が動いてしまうといったことだけではなく、人事考課制度を整備したが、結局運用において正しい教育を行なうノウハウが確立されていないために、おざなりの評価制度が導入されてしまい、成果がでない、といったことがその例です。

成果がでないというのは評価制度があるにも拘らず、公正公平に評価されず、仕事に対するモラールが低くなるということを言っています。

機能評価Ver5を徹底的に検証し、貴院に抜けていることを発見することも大切ではありますが、機能評価で問われる項目のうち、実施方法や実施時期を間違えると影響が大きいものを抽出し、個々個別に別途仕組みづくりを行なっていくということが適当です。

機能評価を万能の打ち出の小槌と考えることは拙速です。なぜ、機能評価機構ができたのかといったところからおっていくと、今病院は何をしなければならないのかがよく見えてくると考えます。
機能評価を取得することは、病院経営課題を解決する一つの手段ではありますが、すべてではないということいっています(続く)。

投稿者 石井友二 : 01:51 | トラックバック

2005年07月24日

経営課題について(41)権限規程の整備

権限とは「個人がその立場でもつ権利・権力の範囲」を言います。組織では、各部門がそれぞれの機能を発揮するために存在し、全体で組織の目的を達成するため活動します。


組織における責任者が誰であり、彼らはどのような役割を負っているのかを明確に決定しておかないと
組織は実際に動くことはできません。仕事の仕組みや制度、ノウハウが組織に所属する人、スタッフを通じて業務を行なうことになります。

誰がどのような責任(立場上当然負わなければならない任務や義務) をもつのか、といったことから、その裏側にある権限が明確になります。責任の裏返しが権限です。責任があるから権限がある、という図式がここにあります。

仕事のに対する権利や権限がなければ、責任を果たすことができません。これをしよう、あれをしようというときに、権限が人に指示したり、人を動かしたりする命令(上位の者が下位の者に対して、あることを行うように言いつけること。また、その内容)をする源泉となります。

役職がある、責任がある、権限がある、命令できるという行為の結果として成果が問われます。このながれのなかで、各職位にある人はどのような権限があるのかを明らかにした規程が権限規程です。
権限は具体的には、次の4つに区分されます。
①起案
②審査
③承認
④報告
といったかたちで権限が行使されることになります。

これらを一覧表にあらわし、誰が仕事を指示し、それを誰が受け、チェックし、実行し、その結果を報告するのかといったことがポイントとなります。

注射の例でいえば、注射箋を医師が起票する権限、それに記載されている注射を揃える権限、揃えたものをチェックし正しいかどうかを審査する権限、そしてそれを患者Aさんに利用することを承認する権限、そして実施、結果を注射箋にサイン、看護記録に記載、といったことで仕事が行なわれます。


実際の話ですが、この権限の4行使が正しく行なわれないために事故が起こっています。指示が誤っていた。聞き間違えた。指示通りに実施したのにチェックしなかった。承認が間違えていた。報告が行なわれない=引継ぎが行なわれないために手を打つのが遅れた、といったことが事故の原因となります。

権限とはなにかを明確に理解する、権限はどのように行使されるのかを徹底的に理解し、利用するために権限規程を作成することが必要です(続く)。

投稿者 石井友二 : 18:15 | トラックバック

2005年07月22日

経営課題について(40)院内LAN構築及び高度利用

院内LANをもつことは、病院においては常識になってきています。オーダリングを入れたところは勿論LANが前提になりますが、グループウェアによって情報を共有化することが重要です。

患者情報(個人情報管理を前提として)、通達閲覧、規則ルール、書類の管理、(活動把握のための)指標情報、委員会の活動状況、マニュアルやパスの閲覧、インシデント・アクシデントレポート情報の閲覧等々多くの情報を得ることができます。


本当の意味で病院の医師、スタッフがチーム医療を行なうためには、病院全体のヴィジョンを共有化し、同じ方向に全スタッフが進むことが必要です。

チーム医療は同じ目的のために何をしていくのかといった全体目標があり、それを協力して達成してくところに必然性をもつことができます。

掛け声だけではなく、また形式でもなく、本当の意味でチーム医療を進めたいと考えるのであれば、病院の進む方向を明確にしたうえで医療の標準化といったキーワードに対して道具づくりを着実に行なうとともに、情報共有化を推進することが相当です。

クリティカルパスがチーム医療の象徴となっていますが、各部署の業務を並べただけで終わらないよう、本当の意味で機能するながれをつくりあげていく必要があります。

実質的な情報共有のためのために院内LANを高度に利用し、以って本当のチーム医療を徹底して実践していくことが望まれます(続く)。

投稿者 石井友二 : 17:50 | トラックバック

2005年07月21日

経営課題について(39)接遇(狭義)教育の推進(プロジェクト)

狭義の接遇は、笑顔、挨拶、礼節から形成されます。
いわゆる一般的な接遇です。病院においては、本来の接遇を重視することが一般的ですが、まずは基礎をということでしょう。以下説明します。


接遇教育のためには、以下を行う必要があります。
①職員一人ひとりの現状分析
 ⅰ挨拶
 ⅱ笑顔
 ⅲ言葉づかい
 ⅳ態度
 についての常識的な課題を抽出する

  これについては、実際に一人ひとりのカルテを作成し、誰がどのような課題をもっているのかについての記録(個人別カルテ)をしておくことが必要です。過去にいただいたクレームについて集計しておくことで個人の課題を出すことも必要です。

②あるべきかたちを院内でつくりあげる
 常識の範囲で、こうしよう、こうしたほうが良いといったものについて十分検討し、マニュアルを作成します。

③教育育成
②をベースに①を利用して、個人個人の自発的な改善を誘導します。
 また、責任者を決定して、ひとりひとりの問題点を改善するよう教育(きがついたときに注意、時間外で学習=ロールプレイングも含む)を実施する。

④評価
 カルテに記載された事項が減る、あるいは改善した者については、これを評価報奨する必要があります。定期的にこれを実施することもよいですし、毎年時期を決めて報奨期間を設定して対応することも良いと考えます。    
  
 本来は、患者さんに不快な思いをさせないということ、早期に治療が完了できるよう、こびることなく、患者と向き合う必要があります。なお、医師の接遇もあり、医師が名前をいう、患者さんの表情をみる、といった部分でドクターズアイデンティーづくりが必要なケースがあります。

 何れにしても、一般的な接遇については、単に接遇委員会といったことではなく、上記のような対応をとることが基本的な重要事項となります(続く)。

投稿者 石井友二 : 10:04 | トラックバック

2005年07月20日

経営課題について(38)銀行対応

銀行対応ですね。
私は監査法人を辞めたあと、信託銀行のコンサルティングセクションに在籍していました。銀行では7年半仕事をしていましたので、銀行の考え方は良く理解しています。

現状では銀行は病院の貸借対照表と損益計算書、そしてキャッシュフロー計算書をみて、さらに経営分析をおこなったうえで病院に対する与信を決定します。

一般の企業と同じアプローチをしていたわけです。
しかし、ここにきてどの銀行もとりわけ地銀においては、融資を積極的に行わないといった状態が散見されるようになりました。それは地銀が保守的になったこともありますが、それ以上に病院のことがよくわからないため、わからないところには融資はしないというスタンスのところが増えたからです。

しかし、逆にいくつかの地銀は病院チームを組成し、積極的に融資をしていこう、あるいは見きわめを行いながら融資をしていこうという姿勢のところも増えてきていることも事実です。
それでも財務内容を静態的にみていることには違いはなく、動態的、すなわち医師の定着率が悪い、職員の定着率が悪い、死亡率や5年生存率が悪い、地域連携ができていない、医療事故が多い、パスができていない、適用率が低いといったことについては頓着できていないというのが一般的です。

今日までよくても、明日からどうなるかわからない状況に病院は置かれています。
制度改正が急であることや上記課題があり、課題が解決できないために経営阻害が突然発生することが十分に考えられます。

病院は財務内容に精通し、どうすれば銀行がよい心証をもつのかといった部分について理解をするとともに、そのようなかたちでの対応ができるよう処理をするとともに、動態的な部分での改革を継続することによって、リスクや経営阻害要因を排除していくことが必要です。

そうした活動ができてはじめて、現在、将来における経営が安定するといった自信をもつことが大切です。自信をもったなかでよい経営ができるようマネジメントを継続していくことが適当です。将来経営が安定するためには、安定させるためには、いまからどのような改革を実行していくことが有効であるのかを熟慮し、計画を立てたうえで対応することが期待されています。

銀行には、判らないながらも伝わるものがあり、銀行はそうした姿勢をとても評価します。それよりもなによりもそうした病院の改革活動は、患者さんに対し、質の高い医療を提供することになり、ブランドを構築するとともに、高い確率で評価を高め、噂となり口コミにより増患します。

それらは他の病院や業者との取引がある銀行に伝わり心証のバックボーンとすることができるのです。

財務諸表への注意を怠らないとともに、課題解決のための経営改革を継続することが銀行対応の王道であることを知る必要があります(続く)。

投稿者 石井友二 : 20:20 | トラックバック

2005年07月18日

経営課題について(37)改善提案制度導入

改善提案についても、いままで書いてきました。

従来の改善提案箱ではなく、制度化しようというものです。
方向、教育、評価、報償といった4つのポイントを、正しく抑えておかないと職員から改善提案はあがってきません。

なぜ改善提案をするのか、どうすれば改善提案を出せるのか、考え方着眼は、そしてそれを評価し、フィードバックすること、報償としてポイント制なのか、賞与にリンクさせていくのか、といったことについて検討しなければなりません。

早く、もっと質を高く、やすく(牛丼みたいですね)、仕事ができるためには何をしていけばよいのかについて、ケーススタディーや具体的な方法をレクチャーすることが必要です。
マニュアルに反映して共有化することにより、改善提案によって創造、工夫されたナレッジが組織に広がります。この部分も忘れてはなりません。

マニュアルそのものについては、導入、定着、機能、進化といった4つの段階にのせて個人の技術技能を向上させるために活用します。マニュアルは使われるのではなく使うものであるということを十分に理解することが必要です(マニュアルの項目参照)。

何れにしても、
1.毎月義務とする
2.テーマを決めてランダム
3.キャンペーンをはってスポット
4.季節ごと
といったさまざまな利用の仕方があります。

どのように4つのアイテム、すなわち方向、教育、評価、報償というフローひとつひとつについて徹底的に意味や必要性を理解したうえで、改善提案制度を導入することが必要です。
職員(場合によっては医師の)の英知を収集することができるとともに、彼らはここまで考えていたのかということに幹部は気がつくことになります。

なお、病院の接遇という意味では、患者さんに対しどのような付加価値の高い医療看護を提供するのかということも改善の対象になります。ある放射線技師は側面から一般撮影をするときに点滴台をもってきて、つかまってくださいといって楽な姿勢をとることを勧めてくれました。また検査技師の方は、超音波検査をしたのち、髪の毛に注意する、ということを仕事にしています。

こうしたことは実は重要なブランド構築のための改善提案として採用される大切な行為です。
病院にはこうしたことが沢山ある、ということを改善提案で知ることになるでしょう(続く)。

投稿者 石井友二 : 09:45 | トラックバック

2005年07月17日

経営課題について(36)賃金制度整備

賃金制度については、能力給による等級制を導入することになります。

本人給は年齢と経験に給与を設定し、毎年どのようにあげていくのかを議論します。
また、能力給は等級により、ある時点の職員全員の等級と号俸を仮決定し、感覚的、あるいは実質的に
職員の上下を決定していきます。

多く支給しすぎていれば調整給として検討することになります。
前提として賃金テーブルは600人程度まで6等級が適当です。なぜならば病院の場合には少なくとも看護師、コメディカル、事務といった3種類、あるいはコメディカルをもう少し薬剤師を除いた部分で作成するといったことが多いからです。少ない人員で等級が多すぎても評価がかえって難しくなります。

賃金テーブルは、一般職J、監督職S、そして管理職Mの3つの資格においてピッチ(賃金の階段)を決定し、それぞれ2等級程度をもちながら、全体として6等級となります。
なお、12がJ、34がS、56がMといったかたちで設定されます。

スタートの段階では本人給と能力給の比率は4:6程度で、30歳程度で5:5となり、それを超えるとどんどん能力給の比率が高くなるよう設計してあります。

また、昇格によって昇給するといった昇格昇給についても配慮しています。標準モデルを設定し、何歳でどのような資格、そして職位を設定し、どのように処遇していくのかといったシミュレーションをしなければなりません。

なお、賃金テーブル全体のパーセントをあげることをベースアップとしていますが、最近はベアがない会社や病院が一般的です。昇給のパーセントは一般に1%から2%といったところでしょう。勿論政策や業績によってこれは異なります(続く)。

投稿者 石井友二 : 16:12 | トラックバック

2005年07月16日

経営課題導入(35)評価制度導入

評価制度には、目標管理制度における評価と、人事考課における考課があります。
前者は業績評価として賞与での対応、後者は業績評価をも含んだうえでの意欲評価と能力評価をいい給与へ反映します。

目標=業績という考え方は、難易度×達成度というかたちで評価されます。しかし実際にこれをやっていくととても難しいです。定量的な比較ができるわけでもなく、定量的な評価とするとどうしても領域が狭くなります。そのために客観的な評価(目を通す)を複数行なうことで補完することになりますが、なかなか難しいです。

達成度はエビデンスをとりますが、そのために時間をかけては元も子もないということになり結構難儀しています。しかし、なにもないなかで一人一人の処遇を決定することも不合理であるのは誰もわかっています。困難であるから簡素化するといったことも、少し意味が違うような気がします。人が人をどのように評価するのかは、とても難しい問題が含まれています。

人事考課は考課シートを利用して情意考課を行い、プラスで日常活動や勤怠管理を行なうことによって最終的な昇給昇格昇進を行います。
以外とポイント化して実施するため、形式的には人事考課が目標管理における評価よりも簡単です。
しかし、評価する側のレベルの問題があり、一般的な項目で評価するために、例えば与えられた仕事を必ず最後まで実行するか(あきらめないか)といったことは、傾向や属性を知ることによって評価を行なうことになり、毎日データを集め、統計的に評価するわけではありません。

したがって個人的な感情や個人の価値観や、評価する側の経験、知識、ものの見方…等々、さまざまな要素によって変化します。そのために考課者訓練を実施するということで、上長、考課者の意識や知識、行動といった部分に対する考え方を一緒にしておくことが必要です。

考課者訓練を行うことになります。なお、賞与の前後に評価者訓練を行なうことが一般的です。

何れにしても目標達成のための評価が年2回、そして人事考課は年1回といったかたちでの評価を行なうこと葉避けられません。評価全般について合理的な基準をつくり、全員を評価することが適当です(続く)。

投稿者 石井友二 : 15:56 | トラックバック

2005年07月15日

経営課題について(34)資金調達方法の開発

組織は、さまざまな理由で資金を必要とします。基本的には営業をすることによってキャッシュフローを確保することが必要で、営業キャッシュフローを確保することが経営の必須課題となっています。


しかし、獲得したキャッシュフローを超えて投資をすることが必要であることもあり、そのためにはマイナス分を財務キャッシュで確保しなければならなくなります。

キャッシュフローを確保するためには、営業利益を確保することが必要です。冗費をなくし、どうしたら営業キャッシュを確保できるのかについて徹底した対応を行なっていくことになります。収益を向上、費用を削減という基本的な事項だけではなく、どうしたら人の生産性をあげることができるのかについて検討することになります。

人の生産性をあげる、という命題は個人の意識の変革、仕事の仕組みの変革、道具の提供、教育の充実といったさまざまなアイテムを考慮するなかで理解することになります。

ビジネスモデル、仕事の仕組み、個人の技術技能、経営戦略、計画立案、計画通りの行動といったものがとても重要な意味をもちます。とりわけ、病院の場合には、仕事の仕組みの見直し、個人の技術技能の向上が重要です。医療の質の向上はこの2つの要素によって確保できるものであるからです。

あらゆるスキルのある者が、合理的な仕組みのなかで仕事をすることで、より高い成果を確保することができると考えています。そのためには、人事管理制度を確立すること、そのなかで個人毎の課題を発見し、教育によってこれをクリヤーすることが必要です。一人一人に光を当てた、育成システムが必要になります。

資金調達をしないようにするためには…、というコメントであり、少し話しが外れました。

さて、病院の資金調達ですが、
1.銀行融資
2.ノンバンクからの融資
3.診療債権の流動化
4.私募債(病院債)
5.リースバック
といったものが主流です。
今後さまざま調達方法が開発されると思います。

事業計画をベースとして、キャッシュフロー計画を立案し、キャッシュ不足分について調達額を決定します。その範囲で、投資効率を明確に精査したうえで、より成果のあがる投資を行なっていく必要があります。基本は事業計画であり、その基礎となる戦略であることを想起しなければなりません(続く)。

投稿者 石井友二 : 08:08 | トラックバック

2005年07月14日

経営課題について(33)キャッシュフロー情報の提供

病院のコンサルティングに入って、びっくりすることは、キャッシュフロー計算書を作成していないことです。会計準則ではこれをもとめていますが、多くの場合資金繰り表といったもので、キャッシュフローのマネジメントをしているということが実態です。

営業キャッシュ、投資キャッシュ、財務キャッシュに区分し、またはフリーキャッシュフローを理解したマネジメントが必要です。営業利益をみるのか、在庫をみるのか、資金収支をみるのか、非損益項目をみるのかは別として、また他のキャッシュフローをみることとともに、キャッシュの源泉をみることによるキャッシュの利用を管理することが得策です。

ここでフリーキャッシュフローは、尤も狭義の考え方である、営業利益からリペアーorメインテイン(維持修繕)に必要な投資キャッシュを控除した数値、という定義を採用します。


病院の場合、明らかに営業キャッシュは営業利益によって大半が構成されており、医業収益を向上させ、費用を低減することが基本命題ではありますが、BSとPLでは理解できないキャッシュのながれをキャッシュフロー計算書で毎月管理することが、病院が科学的行動をとるためには不可欠です。

但し、そうはいっても在庫の削減やムダの排除、支払いの工夫といったことが必要になることは間違いがなく、資金調達、運用の巧拙が明確にでてくる領域でもあります。対応のルール化が必要です(続く)。

投稿者 石井友二 : 03:49 | トラックバック

2005年07月13日

経営課題について(32)院内への情報フィードバック

財務会計領域の数字を現場にフィードバックする必要はありません。
しかし、管理会計領域の数値は確実に現場にフィードバックしなければなりません。

ここにすなわち、財務会計は外部に対する報告の会計であるのに対し、管理会計は内部に対する管理の会計であるからです。管理会計はフィードバックしてなんぼといったところでしょうか。

例えば、収益が落ちました。患者数が低減したからです。日当点は同じでした。
患者数が低減した理由はさまざまでしょうが、一つの仮説として入院患者が減少したことがあげられます。

入院患者が減少したことの理由の一つとして、たまたまベットがいっぱいになていたため、患者さんを転送してしまいました。


1.他の科のベットは空いていたので、連絡をうまくとればよかったのでは…
2、社会的入院の包括患者さんが5名いたのに退院支援ができなかった…
3.レベル4の事故がいくつか発生し、当初の入院期間が延びた患者さんが数名いたため…
4.パス対象患者さんのバリアンスが発生しているが、合併症を発症させてしまったためであり、アナム   ネがうまくできていなかったことによる看護プロセスに問題があったのではないか…
といったことが管理会計上把握され、現場に伝えられ、指導改善の対象となるわけです。

1.ベットコントールの一元化
2.ディスチャージシステムの確立
3.リスクマネジメントにおける事故予防のための活動誘導
4.看護プロセスにおける看護方針、目標設定の適正性確保
といったことがこの月の課題になり、翌月までの行動が誘導されることになります。

これは、ほんの一部です。
部門別予算実績管理におけるさまざまな課題発見、指標管理における多くの問題発見のなかから行動課題が発見されます。

この状況はこれが理由…。といったことを管理会計によって数多く発見し、それらについて対策を立案、
現場に仮説としてフィードバックし、解決を促す。意識の改善や制度改正、あるいは一定期間におけるプロジェクト的な取り組みのなかでの改革が行なわれることによって、さまざまな問題が解決されてくることになります。

管理会計を縦横無尽に利用できるところと、そうではないところに、スタッフ成長、ひいては病院成長の巧拙が決定されます(続く)。

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2005年07月11日

経営課題について(31)会計準則への対応Ⅱ

病院の格付けによる資金調達や銀行から融資を受けるためのガラス張りの決算書(退職給付債務の計上により、大赤字になる病院が続出しますから)は必要であるかも知れません。しかし、それを誰が監査するのが疑問です。

実質的な監査証明がないのに決算書だけで対応する金融機関が大半です。

また病院は医師や医療制度改正、医療過誤等々があっという間に病院業績を悪化させますが、そうしたリスク要因への対応(リスクマネジメント)のチェックもしていないなかで静態的なチェックで病院をみようということには無理があります。

それらを含め、それよりもなによりも、病院は過去に経験したことのない18年からリスタートする医療制度改正の嵐がやってくることを理解し、よい医師、職員に定着してもらえる制度作りを行なうことや、医療ツールを確立し、あらゆる観点から医療の質の向上と効率向上を行なうことで、いまのうちにきちっとした経営基盤をつくることに注意を振り向けなければなりません。


財務諸表をつくる側として、それらに有用な会計を採用しなければなりません。勿論、病院の財務内容を見る側(例えばこの文脈でいえば金融機関)においても、彼らのニーズを充足する会計を要求していくことが期待されます。

管理会計を利用することに力を入れる必要があります。会計は第一段階において、管理会計の確立を志向しなければなりません。会計準則への対応を表面的に行なうことで会計は終わり、ということでは決してないことを内外で理解していただく必要があります。

管理会計による業務改革を進捗させる体制が整備された結果として報告のための財務諸表が活きてくると考えるからです(続く)。

投稿者 石井友二 : 04:40 | トラックバック

2005年07月10日

経営課題について(30)会計準則への対応Ⅰ

私は会計を扱う身ではありますが、はっきりいって時期尚早であると考えています。

病院の会計準則通りの財務諸表をつくれば足りるというルールは、会計監査の制度もないなかで、表面的な表示をルールどおりおこなうことで免責されるという期待と誤解を与えてしまうことになるからです(但しキャッシュフロー計算書を作成することはキャッシュのながれを理解すると言う意味ではとても大切です)。


本来であれば、発生主義により月次決算を行い、それもできるだけ短期に例えば10日程度で月次決算を完了。

前提として、部門別損益計算。そこでは医療材料や薬剤の部門別受け払い管理(毎月棚卸)やロス管理が行なわれること、医師のシフトによる部門コスト把握が行なわれていること、また、各種指標管理が行なわれ、現状分析が定量的に行なわれる体制が整備されていることがが最低必要です。


そこから部門別予算実績管理を行なうなかで、どこに部門別の課題があるのかを発見、指標管理にって問題を分析、そこで部門目標に沿って活動している各部門の翌月の行動を一定方向に(部門目標を遵守しながらも、成果のあがる方向へ修正し)誘導する。

そのこで、原価重視をしながらも、質を落とさずよい医療を志向するための活動が行なわれる。ということが病院に必要な行動です。

表向きの会計準則を正しい表示にしたとしても、ここでいう管理会計の結果としての財務会計、会計準則でなければ病院は勝ち残ることはできません(続く)。

投稿者 石井友二 : 06:28 | トラックバック

2005年07月09日

経営課題について(29)予算実績管理Ⅱ

予算実績管理を行なうことで、PDCAサイクルをまわせます。

組織のPDCAを毎月予算実績管理で実施することが必須です。そのことで計画的かつ合理的な活動ができるようになります。

勿論予算という概念は、部門別損益計算だけに適用されるものではありません。

患者別疾病別原価計算にも利用されます。直接材料費、直接労務費、直接経費、治療間接費と言った原価要素について、原価標準が設定されることにより、標準原価計算が実施されます。

しかし、見積もりによる原価が原価標準に代替されるのであれば、見積もり原価計算が実施され、見積もり価額と実績が比較され、広い意味の予算実績管理が行なわれることになります。

なお、実際には行為別原価計算を無数行い、どの行為を誰が採用したのか、あるいはある患者はどの行為を受けたのかによってこれらを集計し、患者原価を把握することになります。

直接労務費についてはこれも面倒ですが、タイムスタディーを行なうことになります(続く)。

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2005年07月08日

経営課題について(28)予算実績管理Ⅰ

実はこの行動計画は、戦略→経営方針→部門方針といったフローでブレイクダウンされたものとリンクすることが適当です。目標管理制度と予算とがリンクすることが目標達成の実効性を高めるものであると考えるからです。

そして毎月予算実績管理を行います。そこで発見された部門別の課題をどのように改善していくのかについて検討します。行動誘導が行なわれます。


なお、この段階で予算に実績が達しない原因、あるいは予算が実績を凌駕した理由を明確にしていく必要があります。そのためにはKPIを利用します。KPIによって、定量的に分析できれば、次の行動が合理的に行なわれる要因となります。

例えば整形外科入院病棟の利益が100予算に不足しているケース。その原因は患者数なのか、日当点なのか、そしてそれぞれ在院日数、病床利用率、そして検査なのか、手術件数、単価なのか、投薬なのか、リハなのか、コストについては医療材料なのか、労働時間なのか、人なのか等々それぞれの分析がさらに実施されます。

平均在院日数を阻害する要因として、事故件数、内容、経過観察入院、社会的入院(包括患者)等々、管理可能性についての検討が行なわれます。

管理不能であるアクションと管理可能なアクションが区分され、後者についての課題が検討されることになります。それぞれ阻害要因を排除するための活動について、計画が立案され行動誘導されるなかで目的が達成されることになります。

毎月月次決算は10日のレセプト請求までには完了し、部門別予算実績検討会議(仮称)を開催し、上記を実行します。部門別損益計算の本質的な役割を果たすことができます(続く)。

投稿者 石井友二 : 00:08 | トラックバック

2005年07月07日

経営課題について(27)部門別損益計算の導入Ⅲ

できあがりを説明しましょう。

どのような会計ソフトでも部門別に入力すれば部門別損益計算の一次集計は完了します。
ここから一定の配賦基準に基づき、間接部門を補助部門に二次集計分の補助部門コストを直接部門に配賦します。最終的に三次集計が完成します。

しかし、配賦基準が多岐にわたり、とりわけ毎月変動するものを毎月集計することが面倒です。
でもこれを毎回できるようにデータを簡単にとれるよう仕組みをつくりあげることが必要です。

数ヶ月とれば実績が把握できます。いままで把握したことのない部門別損益が把握できます。
次にそれぞれの部門についてそれがプロフィットセンター(収益部門)であろうと、コストセンター(費用部門)であろうと利益計画をつくります。

そして利益計画から予算編成を行います。これは行動レベルまで落とし込むという意味で利益計画と明確に峻別しています。5W1Hでの行動計画が立案されればしめたものです。

当初は利益計画=予算でも仕方がないと考えますが、できるだけ行動計画をリンクさせるよう検討することが必要です(続く)。

投稿者 石井友二 : 23:36 | トラックバック

2005年07月06日

経営課題について(26)部門別損益計算の導入Ⅱ

部門別損益計算は、部門ごとの利益を算出することができるとともに、患者一人当たりの利益情報を提供することができます。

また行為別原価計算のためには治療間接費データを提供できますし、最終的には予算編成のなかで毎月の部門別損益計算予算実績管理を行なうなかで、組織において惹起したありとあらゆる課題を議論するときの大枠とすることが可能です。

そのためには、
1.月次決算の迅速性、正確性
2.在庫管理の適正性
3.医師、スタッフシフトの適正把握
といったものの整備を行なうことが必要であり、ある意味、部門別損益計算を導入するということは、組織の仕事の仕組みの見直しを行なうことにつながることを理解しなければなりません。

財務会計が正しく実施されていないところに、また翌月10日に月次決算が完了していない病院に、そして在庫管理が正しく行なわれていない組織に、部門別損益の予算実績管理からさまざまな有効な情報を引き出すことはできません。

当月の計上されているコストが実は2ヶ月前の請求を今月支払ったものである、といったことや、医療材料の原価や、薬剤の原価が実は使用量ではなく、払い出しによって計算されているということや、ロスが原価に入っている、経済発注点による管理ができていないために無駄な在庫があり、実はそのなかに不動在庫で利用できないものが含まれている…。

そのほか…、といったことでは、正しいモニタリングができないということになります。

部門別損益計算のためには、その前提となる内部統制組織や内部牽制についてのチェックが行なわれるとともに、あるべき仕組みが正しく機能していることが前提となります。この整備なしに部門別損益計算を実施することは、誤った情報によって組織が行動することになり好ましくありません。

最終的には行為別原価計算から患者別疾病別原価計算に移行し、DPC時代に適合した患者さん管理やキャシュフローを重視したマネジメントを行なうことになります。

そのためには、財務会計や税務会計だけではなく、指標管理をも含めた病院管理会計の導入が必要である、ということがいえます(続く)。

投稿者 石井友二 : 01:25 | トラックバック

2005年07月05日

経営課題について(25)部門別損益計算の導入Ⅰ

DPCの時代を迎え、収益重視から原価重視の経営に軸足を移さなければならないことは誰でも理解できます。電子カルテやオーダリング、すぐれたレセコンがその考えを支援します。

そもそも病院は労働集約的な組織です。人が動くことで医療を提供する。したがって組織の評価を定量的に行なえないという宿命がありました。しかし、定性的な評価を行なうだけでは厳格な組織行動、すなわち個人の動きを捕捉できないということが共通認識となったのです。

定量的な管理をしなければ組織を維持できない。しかし、やるべきことをまずやろう…。というのがいまの病院経営の根底にあります。

標準化のためのマニュアルやパス、看護プロセス、といったものの重要性を再認識すること、成果主義に基づく評価制度を導入して、組織目標と個人目標の方向性を一致させるといったこと(成果をどのように把握するのかについては、実は定量化が必要)。

しかし、組織行動をどこかで定量的に管理しなければ、原価重視の経営といっても掛け声だけになってしまいます。バランスト、スコアカードといった道具もでてきましたが、KPI(キーパフォーマンスインディケーター)が4つの領域のなかでしか行なわれないため、利用範囲が狭く、なかなか全体的なマネジメントのツールにはなりえないと考えられます。

個人の行動はより詳細で、より部分での評価が求められているからです。

BSCは戦略のディスクローズ、理解し易い目標の提示、組織目標の共有化、組織と個人目標の一貫性等々さまざまなテーマの目標を達成することについては、ある程度の成果はありますが、本来はもっと組織全体を常に把握し、行動をその都度誘導できる仕組みが必要である、ということです。

部門別損益計算や、KPIの広範囲での科学的(=継続的、体系的)利用といったことが議論されなければなりません(続く)。

投稿者 石井友二 : 07:58 | トラックバック

2005年07月03日

経営課題について(24)救急車受入体制強化(プロジェクト)

救急車受入体制強化というテーマは急性期病院であれば、継続して管理していかなければならないテーマです。救急車の受入体制が整備されたいないために、患者さんの治療機会を逃すとともに、いくつかの収益機会を逃すからです。

とりわけ、連絡が入ってからどのような体制によって、救急車をまち、患者さんをどのように処置するのかといったフローが正しく管理されている必要があります。

また、救急車が到着してしまったが、そのまま受入ができずに転送といったことにならないように対応していかなければなりません。

救急車断り件数といったものを指標としてチェックするとともに、その理由を明確にしていくことが必要です。

当直が専門ではなかった、当院にない標榜科の患者さんであった、医師が手術中で対応できないことが予想された…等々さまざまな理由が判明します。これらに対し、一つづつ課題解決をしていくことによって断り件数を低減させる、あるいは撲滅するといった結果を得る必要があります。


また前提として救急車が到着してからCT撮影をするまでの時間を調査し、入院後の患者さんの状態をデータ化した研究がオーストラリアでありましたが、救急車対応を正しく行なうことによって患者さんの治療成績が変わってくることも確かです。

できるだけ早く受入を表明し、かつ到着した患者さんに対しては早期の対応ができる状況をつくりあげていくことが病院のブランドをつくるとともに、救急救命士の心証を改善し、多くの患者さんを搬送するきっかけをつくりあげていくことになります。

マネジメント的には紹介率の向上が得られる成果となりますが、それ以上にブランド構築が増患に寄与し、以って入院患者増、手術件数増、収益増といったながれをつくりあげていくことになります。

救急車受入体制の整備は医療の質をあげるための最重要課題であるとともに、経済的に有効な影響を及ぼすものであることが理解されなければなりません。地域連携室が中心となり、現場を巻き込んだかたちでの改善が行なわれることが期待されます(続く)。

投稿者 石井友二 : 04:17 | トラックバック

2005年07月02日

経営課題について(23)カルテ一元管理

カルテ管理については、すでにカルテの効率的保存、管理といった次元から、診療録管理といった方向に進展しています。

実際には、DPC時代を迎え、ICD10やコーディングという側面から診療録管理を徹底して実施すべき時代になったことを管理者は理解している必要があります。

これは電子カルテを導入しているからできる、していないからできないといったものではなく、内容的質的なものであるため、手作業であろうと電子カルテ(オーダリング)を導入しているということであろうと、それぞれの状況に応じ、診療情報管理士が徹底したカルテ閲覧を行なうことで、記録内容の首尾一貫性や整合性についてのオーディットを実施しながら対応していくべきものです。


一般的には診療録管理室といった部署を医事から独立させ、上記管理を行なっていきます。
何れにしても、単純な記録媒体としてのカルテが診療録としてより重要な側面をもったツールとして位置づけられていることが理解されなければなりません。

なお、物的管理といった側面を重視すれば、個人情報保護法との連関が重要なテーマとなります。

個人情報保護の実質的な医療機関における重要性についての議論はここでは行いませんが、個人情報の原点であるカルテの管理が正しく行なわれないということは、病院全体の個人情報管理レベルを貶めるものであることが周知徹底される必要があります。

マネジメントサイドでは、単純に概念としての診療録管理の重要性を語るのみではなく、DPC時代を向かえ、明確な診療録管理の質的充実を図るときがきたということができます(続く)。

投稿者 石井友二 : 02:34 | トラックバック

2005年07月01日

経営課題について(22)退院指導について

看護師から退院前に個別的な生活についての生活指導を行なう必要があります。

退院支援の一環ではありますが、具体的な疾患により患者の生活が変化してくるため、それらの管理を的確に行なうためには、個別の指導が必要になるわけです。

退院指導においては、在宅患者の生活支援をどのように行なっていくのかについて仔細に行なう必要があり、患者本人にするものと家族にするものとに区別されます。疾患によりますが、どちらかというと後者に重きが置かれるのは仕方ありません。

例えば脳梗塞の患者さんで、自力で生活ができない患者さんであれば、清潔の仕方、更衣の仕方、口腔内清潔の方法、排便介助・調節、オムツ交換や陰部の洗浄、吸引の留意、吸引器の管理手順、方法、吸引器の扱い方、吸引管交換といった方法への指導が必要となります。

日常生活における注意点や、家族が受けられる支援サービス、そして緊急時の対応、日常的な支援についての対策を明確にしていく必要があります。

ディテールに入るためこれ以上は説明しませんが、病院マネジメントとして必要なことは、これらの退院指導が正しく実施されることにより、勿論自院で訪問診療や訪問看護を実施しているケース、していないケース(その場合には連携により在宅医への紹介)介護事業への展開をしているケース、していないケースによって、自院とのつながりをどのように維持発展させられるかについて注意を喚起することです。


退院後の患者をどのように確保するのかといった部分において、正しいまマネジメントが行なわれているのかどうかといったことについて、留意していく必要があります。連携室のMSWが地域に浸透し、こらら患者退院後の患者管理を正しく実施できているのかどうかが検証されなければなりません。

退院、在宅医による管理、緊急時における患者他病院への入院、とったことでは、当初連携によって対応した意味が消滅します。診療所の紹介患者を返送しないために、事後の紹介が滞る事件が問題になりますが、そうではなくて逆にこちら側から逆紹介した患者が緊急時に病院に戻らないことのないよう看護師は十分なコミュニケーションをとるとともに、MSWが徹底した管理を行い、患者の抱え込みをしていく必要があるのです。

自院に標榜していない科への受診、入院を除き、自院と患者、患者家族との関係を継続させ、水も漏らさない患者確保のための対応を行なっていくことが必要です。
なお、退院時には薬剤師の指導を行なうことで質的(実質)量的(収益)な対応をしていく必要があります(続く)。

投稿者 石井友二 : 12:15 | トラックバック