« 2006年05月 | メイン | 2006年07月 »

2006年06月05日

地域連携の本質的お話(2)

地域連携の後連携で重要な役割を果たす部署に、医療福祉課があります。北海道のT病院には3人のスタッフがいます。彼らは病棟からあがってきたオーダーをもって患者の支援を開始します。

 在宅、施設、転院、そして介護認定、資金調達などなど多くの課題について、徹底的に患者さんの立場にたって行動します。勿論、結果として平均在院日数は短縮され、病院としてのメリットを得ることができます。社会的入院を阻止する、社会的入院を継続させない、ということがそれらです。
 患者さんからすれば、病院を退院したあとの生活が保全されることになります。

 入院してからオーダーがあがるまでの期間、そしてオーダーがあがってから問題解決までにどのくらい時間が必要であったのか、すべての事項が検討され、データ化され、MSWによって開示されます。
 
 そのなかで、ディスチャージはどうか、患者家族支援を行なうことはどうであるのか、また看護師や医師がどのように患者に関与したのか、といったことが議論されることになります。患者さんの軸足から、退院を考えることも地域連携の重要なプログラムの一つの現れであると思います。

 こうした地道な地域連携における仕事の積み重ねが、よい病院を経営することにとても意味がある、ということを理解しなければなりません。

 なお、関東X病院で、7月や8月は患者さんが多くなるから地域連携は必要ない、といいきっているトップがいます。これは大きな間違いです。患者さんがベッドを埋めてしまうから地域連携はいらない。
それ以上には入院できないのだから…。と言う短絡的な対応は命取りです。

 まずは、平均在院日数を短縮するための活動をしているの、単にベッドを埋めているだけではないのかについて考慮したのち、平均在院日数も短縮しながらベッドが満杯ということであれば、いざしらず、そうでなければ、まずは平均在院日数を短縮するために、何をすればよいのかを考えなければなりません。
 ①早期の退院支援計画立案による社会的入院の排除
 ②包括外患者さんの転院(自院が最適な場合にはOK)
 ③医療事故の抑止
 ④クリティカルパスの運用(適用強化)
 ⑤入院診療計画書の書き方統一化
 ⑥医療の質向上
などといったことに執着することが必要です。

 平均在院日数を短縮し、それでも利用率があがるという状況であれば、勿論増患は必要ありません。そうでなかった場合にどうするのかを考えれば、結局は地域連携活動は継続的に行うべきであり、ひとときも休む間がないと決意しなければならない、と考えます(続く)。

「よい病院、よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 02:32 | トラックバック

2006年06月03日

療養型病院はどこで療養するんだろう

 療養型病院は、ご承知のように介護病床は平成23年で廃止。また医療病床は、医療区分によって収入が激減といったかたちで多くの病院が経営の危機に瀕しています。

 一般病床への転換を図るにしても、この看護師さん不足ですよ。医師もいない。麻酔医もいない。といった状況のなかで、基準を満たしていくのはとても大変です。それよりもなによりも急性期の患者さんがたくさん呼べなければ結局のところ収益はあがらずコストが増加。利益がでない。キャッシュはない。といったことになります。

 一般病床にすれば、医療機器の購入機会やリースの機会も増えるでしょう。しかし、その返済ができないということにもなりかねません。
 
 介護病棟は介護施設に…、ということですが、病院のある病棟だけが優良老人ホームになるといっても、水周りは、お風呂は、共有スペースは、個室は、食事は病院とは違うものを出す必要もありますよね。ヘルパーさんを雇用して…。病棟が階毎ではなく、つながっていたらどうするのか、などなどいろいろな問題や課題があります。閉鎖ということになれば、人員を他に転用するということも考えることはできますが、やっぱり慢性期と急性期、介護型と医療型それぞれの仕事をガラっとかえていかなければならいないことも確かです。

 いま依頼を受けて健全化のための企画書を会社で書いていますが、ふと療養型病床のやすまるところはどこか、どこで療養するんだろうと医療制度改革のすざましさをいまさらながらに感じていたところです。家に帰ります…。私も家で残りの仕事をしなければならず、今晩療養する時間はなさそうです。

「よい病院、よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 22:11 | トラックバック

2006年06月02日

地域連携の本質的お話(1)

おさらいが済んだので、本格的な話に入りましょう。

 地域連携を行なうということは、自院の戦略を明らかにすることである。ブランドな病院となることです。また、患者さんから選択してもらえる病院になることです。そのためには地域連携活動を重視するのではなく、病院全体のブランドづくりをまず重視しなければなりません。

 業務改革が必要です。明確な戦略を医師別に確立。診療科別に提示。そのために何をしなければならないのかを病院全体が議論する。まずこれが必要です。


 理念や思想に裏付けられた明確なビジョンと戦略の創造が行なわれない限り、患者さんに選択される病院経営のスタートをきることができません。マネジメントサイドは医療については徹底的な議論を行なう必要があります。

 その場合、同じ標榜科目においてどのような医療を行うことが先端なのか、あるいは特徴を出せるのかということについては、マネジメントサイドで情報をもっていなければなりません。常によい病院には見学にいく、学会から情報を収集する。親しい病院のマネジメントと議論するといった取り組みが行なわれる必要があります。
 
 実際のところ、どの領域を採用し、どのレベルで病院運営を行なっていくのかについて標準や医療権を一緒にする近隣の病院の政策や考え方、戦略を理解しておくことも必要です。概念的なものではなく、また風聞ではなく、噂でもなく、日本全国ですぐれた病院の実際の戦略や近隣病院の情報収集を怠ることはできません。

 一方で、組織の質をあげる、スタッフの効率を高める必要があります。医師が成果をあげやすい環境づくりをどのように行なっていくのか、どちらかというと場面によって医師を逆にリードする、あるいは
間違った方向から引き戻してくれるレベルをもった職員を多くもっている病院は、とても強いと考えます。医師の側も、スタッフを教育し、訓練することで、医師の思うような医療ができる状況をつくりあげることも必要です。

 病院全体として戦略を徹底的に実行するための取り組みを行なう必要があります。目標管理制度や都度の戦略実施に向けた組織づくりが必要です。

「よい病院、よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 15:37 | トラックバック

2006年06月01日

地域連携についてのおさらい(4)

 先日ある病院でレクチャーしたときの説明の一部です。ちょっとだけさわりをお話します。

 病院環境が激変しています。医療費の抑制のための医療制度改革が、さらに厳しいものとなることが決まっています。発表されたものだけではなく、次に控えているものをも含め、病院が勝ち残るためには、病院自体も変化していかなければなりません。
   
 地域に認知されるとともに、医療の質を向上させ、広く地域住民に支持される病院が地域で継続的に残り発展することができます。
 
 どのようにしたら地域に認知されるのか、またどのようにすれば医療の質を向上させることができるのか、そして結果として地域住民から尊敬され支持される病院となるのかについて十分に議論し、検討することが必要です。

 そこにおいて地域連携の果たす役割には大きなものがあります。地域連携は単なる患者さんのやりとりの問題ではなく病院の基本的な戦略であるという理解が必要です。
 本当の意味での地域連携を行うためには、自院が期待される機能をもち、どこからも患者さんが集まる状態をつくりあげるとともに、紹介側からみて信頼できる、そして安心できる病院となることが必要であるからです。

 地域連携はしたがって地域連携プロジェクトや地域連携室スタッフが動くことで成果をあげていこうとする部分的解決だけでは、どうしても限界がでてきます。

 地域連携について病院全職員が明確な理解を行うとともに、各部門や職員一人ひとりが自らの役割を認識したうえで、地域連携は自分達が行うんだという姿勢をもつ必要があります。また、具体的な数値目標を設定し、誰が(誰のために)何をいつまでにどのように達成していくのかを明確に計画し、実行していくことが適当です。

 病院幹部や全職員は、地域連携は部分的な戦術の問題ではなく、病院維持拡大のための重要な基本戦略の一つであることを理解するとともに、『地域連携を通じて、あらゆる課題を解決していくんだ』という覚悟と決意をしなければなりません。
 いまこそ病院改革のための大きなながれをつくりだしていくことが必要です。


「よい病院、よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 01:46 | トラックバック