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2007年06月21日

介護事業のこれから(1)

最近、医療機関から見た介護事業の展望というテーマで講演会を2回行いました。その内容の一部をご紹介します。 
 在宅が進捗することにより益々介護へのニーズが高まることへの対応が必要です。
(1)介護の質を向上させる必要
 ①仕事の仕組み
 ②個人技術技能向上

(2)病院との連携による医療的思考の導入

(3)在宅医や訪看、居宅介護支援事業所等との連携強化

(4)施設介護から疑似住宅(高専賃)介護への転換

(5)有料サービスへの進出

(6)他事業とのコラボレーション(単独事業からのリスクヘッジ)

(7)IT化を含めた合理的オペレーションによるコスト管理の徹底
といったことがそれらです。

 今後、これら一つひとつについて私たちの考え方を説明していきます。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 01:51 | トラックバック

2007年06月20日

クリティカルパスのすごさ(4)

四位一体(マニュアルとパス、そしてリスクマネジメント、そして教育は個々に存在するのではなく4つのアイテムのなかで常に関係をもちながら機能を発揮させなければならない。そのことにより、医療は高い質と生産性を得ることができるという考え方)は、私の本で明らかにしている考え方です。

 クリティカルパスの個々の実施事項はすべてマニュアルでアセスメントされる必要があります。ある項目について実施する者により、実施内容が異なってしまうからです。

 パスではあくまでも何を実施するのかしか記入されていません。その内容については実施者のスキルに依存することになってしまいます。実施者のスキルがどのように実施されるのかについては、何の基準もありません。基準なく行為が行われるのであれば、どのようにしてパスの質を担保するのでしょう。質を担保するためには実施事項についてマニュアルによる説明がなければならないのです。

 クリティカルパスはその存在が治療を方向づけることだけではなく、マニュアルとのセットにより、治療の質を高めて区ためのきっかけを提供することになるのです。

 マニュアルだけでも、個々の項目の行為を意味づけるという意味をもちますが、マニュアルをひとつひとつの業務を記述するという機能から、連続した治療のながれを説明する機能をもたせることができるのです。クリティカルパスあることで、行為を点から線に変化させることができます(四位一体スペシャル1)。
また、バリアンスがあることにより、クリティカルパス自体が書き換えられることになりますが、患者要因、システム要因や医療従事者要因、そして社会的要因にいたるまで、すべて業務改革の対象になります。業務改革は具体的には業務の手順を変え、ノウハウを付加し、必要な知識はいったいなんであるのか、そしてどのような能力が必要であるのかを示してくれます。それはすべてマニュアルそのものを書き換えることになります。

 ここに、クリティカルパスはその進化を通じて、医療行為すべてを変革する力をもっている、ということができます(四位一体スペシャル2)。

 さらに、バリアンスの要因として事故があります。事故が発生すれば、事故掌握や解決のために必ず余計な時間を必要とします。レポートを書く、行為を振り返る、対策を検討するといった本人や発見者の時間を消費するだけではなく、レポートをチェックする者、コメントを書く者の時間を奪うことにもなります。リスク発生は、患者本人の時間を奪うことは勿論のこと、こうして病院のオペレーションそのものの質を毀損(きそん)することになるのです。これは無駄です(※)。

※通常リスクマネジメントを行うことで、たとえばインシデントが十分に議論され、アクシデントを防止することができるまで対策化されることができれば、議論や対策かまでのプロセスにおいて消費された時間は有効に機能しますが、多くの病院ではあまりにもこのプロセスや対策定着が徹底されないため、何度も同じことが起こる

 クリティカルパスはリスクマネジメントと密接な関係をもち、クリティカルパスによる治療を標準化し、それをマニュアルによりアセスメントする結果、質があがり事故が減れば、こうしたリスクマネジメントにより発生する不効率を低減する効果をもちます。パス通りに治療をしよう、予定日に退院してもらおうという意欲が事故を抑止するという意識をより強めることになると考えられます。パスは、事故抑止効果をもつことになります(四位一体スペシャル3)。

 また、パスを期日通り運用しようとすれば、パスを利用する者すべてが、スキルを高めていかなければなりません。スキル=技術技能を高めるためには教育システムが必要となります。教育システムがあることにより、曖昧な教育が排除され、合理的で体系的かつ継続的な教育が実施されます。マニュアルによる直接のOJTや、パスの運用プロセスにおける訓練、そしてリスクマネジメントの実施による訓練等も教育の範疇に含まれます。

 パスを中心としてマニュアルやリスクマネジメントが機能するなかで、必然的に教育システムが形成されてくる可能性があります。高密度で質の高い教育を行わなければならない→クリティカルパスを利用することが必要→引きずられるようにマニュアルが機能→リスクマネジメントが影響を受ける→そして教育の必要性が確認できるとともにシステム構築に進むといったながれができあがります(四位一体スペシャル4)。

 これがパスの教育誘導力です。クリティカルパスを利用して質の高い医療(たくさんの患者さんに来院してもらい、早く退院してもらうことができる医療)を志向しようとすればするほど、四位一体はより強く機能することになります。

 四位一体を具体化し、実効性を高める中心軸となる道具がクリティカルパスであるということができます。クリティカルパスのすごさについて、理解していただけたでしょうか?
 パスのすごさをよく理解したうえで、パスを徹底活用するための体制をつくりあげることが望まれます。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

 

投稿者 石井友二 : 00:30 | トラックバック

2007年06月15日

クリティカルパスのすごさ(3)

クリティカルパスは、DPC下において欠かさざるものであることは明白です。DPCAB期間とパスの日数の比較によりパス日数を短縮する道具になるからです。DPCに近づけるためには、パスがなければどこを改善してよいのかわかりません。まずは日数を合わせるためには何日を短縮しなければならないのかを疾病別に一覧表とします。
 
 そのうえで、
 ①外来パス化による短縮
 ②地域連携パス化による短縮
 ③前回説明したバリアンスマネジメントやアウトカムマネジメントによる短縮
が行われることになります。

 外来パス化による短縮ですが、術前の検査をすべて外来化するということで対応します。疾病別に検査のセットを作成することになります。ここでいう検査には撮影も含まれています。術前何日前のデータを手術に利用できるのかについて検討します。ほぼ1週間がマックスとなるでしょう。それ以上の乖離は検査データが陳腐化してしまうことになるからです。

 検査セットの内容については、現状精査が必要です。必要な検査とそうではない検査を峻別し、明確な基準をつくることが必要です。術前検査の外来パス化は、予定入院の場合であり、緊急入院の場合には適用されません。

 紹介の場合にはどのように対処するのか、遠方から来院している患者にはどのように対処するのか、といった課題があります。また、どうしても入院して検査をしなければならい場合には、一端入院して検査を受けたのち、翌日退院してもらい、再度手術のために入院するということが可能であるのかどうか等々、さまざまなケースがあるため議論が必要です。

 地域連携パスについてですが、自院の退院許可を出すアウトカムの定量化が必要です。それができたのち、自院のポジションとしてここまでの治療を完了したのち、連携パス付きで退院支援を行なうことになります。連携パスは転送先の病院や診療所によるケアを効果的に実施するために役立ちます。パスがあることにより、転送先病院や在宅でのケアが円滑に進むことになるでしょう。

 アウトカムマネジメントのなかでのCIによる定量化作業が進むことにより、主観ではなく客観的なかたちでの退院が実施できることになります。パスがあることで患者も納得して当院での治療が完了したことを悟らざるを得ない、といった状況となります。

 また地域連携パスがあることで、病院が患者と一体となって治療に立ち向かっていることが理解されることでしょう。パスがあるのとないのとでは大きく成果が異なることになります。
 ということで病棟に残った部分のパスは、前回説明したようにバリアンスマネジメントを行うなかで、業務改革ができたり結果として在院日数を短縮することができたりします。

 総じてパスは在院日数短縮という名目のなかで、創造的に改訂され、そのプロセスでは多くの事項の改善が実施されることになる。ということがその内容です。外来パス化は短時間で必要な検査をおこなうことにつながり、入院して検査を受けることよりも効果的に検査を実施することができる筈です。これは社会資源を有効に利用することになります。その間は治療をしなければならない患者のためにベッドを空けることもできるからです。
 
 連携パスは地域に医療が標準化されるきっかけを提供します。院内のみならず他院にもそして診療所においてもまずは医療が外形的に、標準化されることになります。実質的にどうかというと、それは別途病院が提供したマニュアルやチェックシート、関連図やその他資料など、現場の医療を質を向上させるための仕掛けが別途必要です。地域のためのカンファレンスやケースマネジメントが行われることになります。
 このようにクリティカルパスがあることにより、DPC下において在院日数短縮という道標により、迷える旅人が明確な変革の意志をもった治療を行うことができるよう誘導されることになります(ここで変革の意志をもった医療、とは現状の医療を否定するものではなく、現状の医療のみ直しをかけるなかでより質的に向上させながら必要十分な医療を模索するプロセスへ入る意志を意味している定義です⇒従来は自院の治療をパス化してパス通りに医療を行う誘因しか与えなかったパスが、DPCと比較されることによりより明確な治療方法の改定を誘導する道具となるのです)。

 外来パス化、地域連携パス化、そして自院の業務改革を進展させることのなかで、クリティカルパスはスタッフや医師の考え方や意志、そして行動そのものを変革していく力をもつことになります。

 上記がクリティカルパスがすごいことの第三弾です。さらに四位一体の理論にはまだまだすごいことが隠されています。これは次回第四弾で説明します(続く)。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 21:23 | トラックバック

2007年06月13日

日本を救う地域支援協議会(1)

20年4月から開業医の診療報酬が下がるといわれています。その理由の一つとして在宅医への誘導があげられています。勤務医の労働環境の改善や報酬の是正といったものもあるかもしれませんが、何よりも在宅医を数多くつくるということが目的であると考えています。
 
 DPC下においてどうしても医師が現場に張り付く必要があります。多くの医師が在宅療養支援診療所を開設し、多人数(4~7人程度)の規模の在宅医もかなり数多く地域で活動するようになりました。しかし絶対数が明らかに不足しているということがあるのでしょう。
 療養型病院も減少、回復期病院がつくられるとしてもベッドは足りない。施設介護も介護保険の給付を下げざるを得ない日本経済のもと、どうしても破綻の方向に向かいます。

 医療法人が適合高齢者専用賃貸住宅の展開を付帯事業化しているのも、結局はベッドは減らしますが、在宅にちらばせるとリスクが高まるので、一つのところに集めてね。といった国の考え方であると考えることが相当です。
 そもそも開業医の先生はリスクマネジメントや高齢者の在宅での処置、褥瘡やIVH、酸素、ペグの管理に長けているはずがありません。彼らがどっとマーケットに出てくればどのようなことになるのかは用意に想定できます。
 
 ヘルパーや訪問看護ステーションの看護師がいったいどこまでクオリティの高い看護や介助をしているのかについて誰も評価していない現状で、さらに不慣れな医師が多数現場にでてきたときの状況は容易に想定することが可能です。
 阿鼻叫喚の世界が繰り広げられるということです。だから高齢者専用賃貸住宅なのです。一つに地域の患者や利用者をまとめることによりリスクの逓減や生産性の改善が行われることは間違いありません。

 しかし本質的なところでの医療の知識やスキルはどうしても基幹病院の医師が彼らに指導していく必要があるというのが私たちの考えです。末期がん患者のケアをどうして地域の医師にいきなりまかすことができるのでしょう。
 
 医療の知識や経験だけではなく、メンタリティやサイコロジーについての対応をどうするのか、そして、何よりも従来は外来で診察していた環境から家庭のなかに介入し、ぐじゃぐじゃ(表現の品が悪いですね…)になりながら患者を診ていかなければならない環境に置かれる医師を誰が支えていくのかという問題が発生します。

 それは基幹病院の役割であると思うのです。病院にいるから私の患者です。外に出たら関係ない、ということではないと考えます。ただAさんの生活全般を急性期病院の役割のなかで診ることができないのはあたりまえです。あくまでも思考や思想的な意味で説明をしています。急性期の役割は担います。しかし、早期に病院からでてもらうためには、従来急性期で担っていた役割を地域に移管した部分についてのサポートが必要であるということを言っているのです。

 地域支援協議会はそうした発想に基づいて組成します(続く)。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 11:09 | トラックバック

2007年06月12日

クリティカルパスのすごさ(2)

パスによる業務改革ですが、
(1)パス通りに治療が行われない
(2)パスの現状とあるべき形との乖離がある
ということを着眼とすることは明らかです。

(1)は、バリアンスマネジメントから発生します。バリアンスとは標準との乖離(標準からの逸脱)をいうわけですが、変動についても対象とします。変動は標準からは逸脱していないものの、標準とは異なる治療を実施したということと定義しています(バスを使えないほどの常態となるケース=当該治療を継続できない。

 別の疾患の治療を優先しなければならないケースはパスを利用できないということで脱落としています)。

 バリアンスには正のバリアンスと負のバリアンスがあります。正のバリアンスは計画よりも早期に治療が完了すること、負は逆です。バリアンスはコードにより管理することになりますが、要因は4つあります。ⅰ)医療従事者要因ⅱ)システム要因ⅲ)患者要因ⅳ)社会的入院要因といった分類に区分できます。

 ⅰ)は医療従事者の指示ミス、指示忘れ、インシデントやアクシデント、休日や予定外行動等々が、そしてⅱ)業務フローや業務システム、さらには制度や手順から発生する問題課題ⅲ)は固体による治療遅れや、患者によるアクシデント等々そしてⅳ)家族が帰宅を拒否したり、介護認定で時間が必要、あるいはもう少し病院で療養を、さらには施設待ち等々の要因が該当します。

 正であればパス日数短縮要因となりますが、負は退院日が遅れることを意味しています。まずは一次パスからバリアンスを発見し、そこでその原因を事前に排除あるいは予防することにより、パスで設定した日程で管理できるよう業務改革を行うことが必要となります。勿論教育レベルでの対処が必要で、個人のスキルに問題がある、あるいは行動に課題があるのであれば、徹底的な訓練が業務改革の埒外で実施されることになります。
 
 常に現状とパスとのギャップを埋める活動を行うことのなかで、あらゆる業務の見直しが行われる着眼が得られるということを意味しています。バリアンスをより詳細に分類することにより原因が把握できやすくなりますが、そのことにより、より詳細な業務改革への対応ができるようになります。

 正のバリアンスによる在院日数短縮は、勿論、パス自体の日数を短縮することになります。偶然ではなく合理的なエビデンスに基づき、治療の日数を短縮できるということが明確に仕組み化されることが必要です。統計的なアプローチと、合理的な理由による処置の前倒しを伴う活動が行われなければなりません。少し難しくなりますが、アウトカム=ゴールの基準を議論することになります。退院許可を出すCI(クリティカルインディケータ)を明確化し、定量的に医師の判断基準を確立することもパスで設定した日数を短縮する要因です。疾患によっては検査データだけではなくADLのデータなどがCI化されることになります。
 この段階になると自院(それも自院の治療に起因する事項の変革)によりどこまで在院日数を短縮できるのかといったことの活動への展開が行われます。結果としてパスの日数が変わったときにパスの名称は二次パスに変わります(って、なんか教科書みたいになってしまいましたがすみません。書きなぐっているので、丁寧ではない記述もありますがお許しを…)。

 パスのすごさの第二は、パスを利用することで意思決定を行う基準が確立され、医療の質向上や結果としての生産性のまた科学的(体系的、継続的)な管理が実施できることであると考えます。
 次にはパスのすごさ第三弾を説明します(続く)。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 10:27 | トラックバック

2007年06月11日

クリティカルパスのすごさ(1)

クリティカルパスは、医療の質の向上に絶対役立つと考えます。ここで医療の質は、その病院として最低限以上必要な医療や経済性合理性をすべて包含した概念です。

 最低限以上という意味は、最低限ではないがこれもしたいあれもしたいという医療ではありません。また経済合理性というのは、前段とセットとなる考え方ですが、極限までコストを引き下げるということではないものの、一定程度の利益(適正利益)を生むために必要なコストの範囲で利用されるレベルのコストです。
 
 とどのつまりは、医療の質は、必要十分な医療ではあるが、無駄を削ぎ落とし、このうえなく正しく行動したうえで発生するコストにより提供されるものでなければならないものであり、医療の質の向上は、その程度をより高めていくなかで達成されるものであると考えます。結果として医療の質は仕事の仕組み、個人の技術技能に表現されることになります。


 パスの領域でいえば、
(1)現状の医療を書き表したパスがあること(一次パス)
(2)パスの各項目の内容が医師や医療従事者ごとに異なることがないようプロトコールやチェックシートによりアセスメン  トされること
(3)他の病院のパスと比較し、どこが異なるのかを明確にしておくこと
がパスを医療の質の向上のために利用する第一段階です。

 この段階がクリヤーされるためには、すべての疾病についてパスがある。という状況にすることが前提です。不適用や適用頻度が低いとか高いということではなく、まずはパスをつくりあげておくことが必要です(パスができないという疾病はありません。要はどのレベルのパスであるかという違いです。幅がないパスと幅があるパスとの相違です)。

 この状況になっているのかどうかを各病院はチェックしなければなりません。

 なお、患者別疾病別原価計算をしていると、同じ疾病でかつバリアンスや変動がないにもかかわらず、1日の原価が異なることがあります。

 それは項目はパスどおりであっても、使う薬剤が異なる(直接材料費)、使う時間が異なる(直接労務費)といったことが発見されます。これは原価計算からパスの内容を統一すべきだという指摘が行われる領域であり、医師の使う薬剤の統一や、看護師によるばらつきが生まれないよう看護師の技術を統一したり、マニュアル通りに実施できるよう訓練することを意味しています。

 何れにしても、パスの項目が同じでも、薬剤名や使用量を明確にパスに記載しておくことや、各項目の実施にあたりマニュアルを作成し、マニュアルどおりに業務が進められること(勿論、業務改革は継続しマニュアルは常に改訂されることになりますが)が必要です。

 なお、当該パスを利用する者(看護師以外もすべて)は、マニュアルどおりに実施できるよう教育を正しく実施することなどが別途必要になります。

 パスはパスだけでは標準化されたことにはなりません。他のエビデンスやマニュアル、そして全体を理解するための関連図(アルゴリズム)とセットになっていなければならないのです。一次パスであっても、上記のことが理解されて利用されるのであれば、まずパスの機能を提供することができる段階のスタートを切ることができます。

 パスのすごさの第一は、業務を可視化したうえで、実施レベルで標準化することやコストを一定の範囲に収めることであるとともに、業務改革や教育へのきっかけをパスとしてつくりあげていく材料として役立つことにあります。
 次にはパスのすごさ第二弾を説明します(続く)。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 03:20 | トラックバック

2007年06月10日

びっくりリスクマネジメント

クライアントのY病院のリスクマネジメントの委員長である医師は、こう説明しました。アクシデントひとつひとつに対策を立てていたらとんでもなく時間がかかる。だから大きなものや統計的に重要なものだけに対策をたてる。って本当にびっくりします。

 そもそもインシデントについては、そうした考えが成り立つかもしれません。しかし、アクシデントです。ありえないです。レベル1であっても実施したアクシデントには対策が必要であるというのが私達の主張です(国はレベル2からを事故として集計していますが)。ハインリッヒの法則をもちだすまでもなく、やっぱりできるだけ事故をなくす対応をしなければなりません。それでもスリップがあるのです。

 しかし、日ごろから仕組みづくりや意識の徹底、そして技術の向上に取り組んでいれば必ず事故は低減しないわけがありません。ある子供服の工場で、従業員にアンケートをとったとき(私が銀行員のときですから今から10年以上前のことではありますが)、たった一人、当社は不良品を出荷している、というものが書かれていました。会社をあげて品質管理を徹底したことはいうまでもありません。

 たくさんの事故(患者さんにとっては自分のなかの唯一の事故です)のなかの(患者は事故と認識していないものもたくさんあります)、それもレベル1(実施したが影響なし)であてってこれが次に取り返しの付かない事故に展開することがあるのです。ひとつひとつチェックして、重要でない、あるいは仕組みでは解決できないほど個人的である。仕組みで解決できるがとてつもなくコストがかかる、といった特殊な事情があるものは、牽制機能を強化するための手順程度をもって対策としてもよいでしょう(たとえば必ず第三者がチェックする)。しかし、通常は必ずそれを抑制する手順があるものです。

 対策としてルールを変える、方法を変える、仕組みを変えるということがあるはずです。そのことを弊社スタッフが医師に説明しました。しかし、医師の意思は不変でした。院長に説明しても、正しいことが定着するまで説得するのがコンサルの役割である、といわれる始末です。はっきり申し上げて一事が万事です。

 こうした考えをもっている病院は私達がいくら頑張っても、成果をあげることはできません。絶対です。残念ですが、今回の医療制度改革のなかでは淘汰される可能性が高いでしょう。皆さんの病院はいかがでしょう。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 06:47 | トラックバック

2007年06月03日

後期高齢者医療が導入される(2)

 本当の心配は次の次のステップにあります。75歳以上が後期高齢者ですが、前期高齢者は65歳以上です。もし、広域連合の取り扱う後期高齢者医療が前期高齢者医療になると、いや高齢者医療としてとりまとめられ、今求められていることが65歳以上に適用されるとすると、病院はひとたまりもなく、吹き飛んでしまうことになるでしょう。

 ブーフーウーの藁の家のようなものです。堅牢なレンガの家にするためには、やはりDPCを導入し、いままでにない業務改革を創造的に実践することしか一般病床が残り急性期を担っていく道はないとすることが適当です。

 介護施設もこれから益々規制を受け、特定施設の給付が引下げられることになりますから、療養型病院は一足先に高齢者専用賃貸住宅へ移行し、訪看か居宅介護支援事業所をつくり、診療所をつくり、外付けでの対応を行なえる体制をきちっとつくりあげていくことが必要であるかもしれません。

 診療所になれば後期高齢者医療はこわくないですから…。しかし、どちらにしても診療報酬は引下げられるため、多くの患者さんが敷居をまたぎ易い環境をつくりあげていくことが大切です。顧客管理、未病の患者へのアプローチ、診療所は地域の健康基地である、といったコンセプトを軸として地域住民が健康で豊かな生活を送れるためのあらゆるサポートを行っていくという方向に業務のながれを変えていく必要があるのではないでしょうか?

 今日から札幌は神宮祭りとかです。地域の老若男女が談笑しながら楽しそうに道を歩いています。この人達を、いつまでもこうした時間がもてるよう、そして心から笑える日をできるだけながくもてるよう、自分がどのような環境になろうと常にそばに医師がいる、診療所がある、ことで安心して生活することができるよう、開業医の先生には頑張っていただきたい、それが常に医師のそばにいさせてもらっている私たちの思いです。

 確かに大変な時代にはなってきたかもしれない。ただ、私たちの周りにいて献身的に患者のために医療を提供し続けている医師たちは一様に明るく素敵な人生を謳歌している人々です。いつも笑顔で楽しそうに、話てくれます。つらいことがたくさんあると少し顔を曇らせることもありますが、それらを糧としてさらにポジティブに進む人々です。

 いつも頭が下がります。学んでいます。そんな医師のそばにいつまでもいさせてもらうために、私たちも精進しなければなりません(続く)。


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投稿者 石井友二 : 02:25 | トラックバック

2007年06月01日

後期高齢者医療が導入される(1)

後期高齢者医療が導入されるとどうなるのか、多くの病院は戦々恐々としています。一番素敵な方法は自院から医師を一人だし(辞めてもらい)病院の前に一部外来分離することです。この方法で、自院にかかる患者さんは、みなその診療所で初診をしてもらうということになります。

 しかし、実はそこで検査をしたりすれば病院にいかなくとも済む患者さんが多かったりします。結局以前はなしたことがあるかもしれませんが、心配だからということで大学病院や大病院、あるいは病院にまず行くという行為は、もしかしたら本当に無駄なことであるかもしれません。しかし本当に重篤な疾患をもっている患者さんを診療所で拾えるかどうかといったことには常に疑問があります。

 プライマリーの段階で多くのアプローチができる医師が沢山いれば、そうした心配はないのでしょうが…。この当たりの解決がフリーアクセスの制限といったことには常に付いて廻ると考えます。

 ただ、今回の改正直後(来年4月以降直後)においては、定額制程度の話で落ち着くのではないかといわれています。ただ、自己負担が増えた患者さんの受診抑制が起こることはすぐに予想されることで、病院にいけないので亡くなった奥様を屋上の冷蔵庫に入れて放置したというご主人が逮捕されましたが、これが事実かどうかは別として、こうしたことがまことしやかに新聞発表されるという時代になったということでもあることは認めなければならないでしょう。

 入院を断り通院で治したいという患者さんが増えているという事務長のことばは、病院は大変だな~と考えるとともに、地域で生きている住民の思いや悲しみが伝わるエピソードであり、とてもつらくなります。病院が残る。しかし地域住民は不幸せという公図をなくすためにどうすればよいのか。それを考えなければなりません。これはマクロ的な解決策でしか対応できない問題であるため、余計に辛くなります。また、明日はわが身でもあることを身沁みて判る気がしています。


 後期高齢者医療がどのように進んでいくのか、とても大きな問題であり、外来依存して手術の少ないいわゆる急性期病院の未来をつぶすものでもあります。それが国の狙いであるとしても、うまく着地できる方法を提供することが国の責務であると考えます…といって期待もできないので、自院が職員全員の力を出し切れる、そうした経営体としていくことが重要であるということではないでしょうか。リーダーとしての医師や幹部の行動がとても重要な局面を迎えたと考えます。


 選挙が終わったあと、後期高齢者医療がスタートします。消費税がもし10%以上あがったら多くの病院はコストを診療報酬に乗せることができず破綻しますが、後期高齢者医療制度下においても、多くの病院が患者をなくし、淘汰される坂道を転げ落ちることになると誰もが理解しています。
準備を怠らず。自院の戦略や政策について真剣に議論するとともに若年層を呼ぶ新しい標榜や新しい試みを早急に実施することが望まれます(続く)。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 22:20 | トラックバック