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2007年11月10日

無駄や不効率をパスし質を向上させるためのパス(2)

 業務を有効に遂行するためには、そしてここでテーマにしているパスを的確に運用するためには、バリアンスをマネジメントすることが必要です。
 バリアンスは、標準化されたCPから実際のケアがずれてしまったもの(脱落及び変化)をいいます。Zenderの定義では「バリアンスとはアウトカムかケア介入で実際と計画した行動での欠損」ということです。但し、正のバリアンスもありますので、その場合にはCPを変え、在院日数を短縮する方向に作業を進めて行きます。
 以下説明します。

 バリアンスの発生要因は、
 ①医療従事者要因
 ②システム要因  
 ③患者要因
 ④社会的要因
 に区分できます。

  バリアンス分析により多くの示唆を得ることができます。
  正負のバリアンスを管理することにより、標準からの乖離がどれほど生じているのかについて原因を把握することができます。それらを改善することにより、以下に挙げるアウトカムの達成や平均在院日数の短縮が得られます。
   
 (1)ケアの過程を改善する
   ・指導を行う時間的タイミング
   ・教育計画に沿った教育的な資料を提供
   ・患者回復における臨床ケアのポイントについて医療チームで話し合いをもつ
   ・OPの経過をモニターするときに患者や家族を積極的に参加させる

 (2)CPの修正を行う
   ・検査、処置、治療を削減、追加する
   ・臨床アウトカムを達成するために時間軸のタイムフレームを変更する
   ・ケア介入のタイムフレームを変更する
   ・ケア介入の頻度を変更する

 (3)運営システムを変える
   ・与薬の方法を変える
   ・チーム医療をより効果的に実施する
   ・書類のフォーマットやフローを変更、新たに作成する
   ・システムを変更する、導入する
   ・記録の方法を変える
   ・退院支援計画を再設計する
   ・入院時の指導を強化する

  なお、DPC時代においては、コスト削減といった視点からのチェックも必要となります。CP毎に標準コストが設定されている場合には、バリアンスとはならないが、より効果的に治療を進めるため、生産性向上のための別途対応が必要となることもあります。CPを患者別疾病別原価計算のために利用する場合には、バリアンスにコストのバリアンスが生まれる可能性があります。
 その場合には使用する物品を少なくする、変える、止めるといったことや、行動を変える、止める、動線を短くするといったこともCPによって変わることに含めていくこともありえます。

 以上、バリアンスを管理することで、無駄や不効率が排除されます。
 業務改革や教育を徹底して実施できる体制をつくりあげていく必要があります。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 00:01 | トラックバック

2007年11月08日

無駄や不効率をパスし質を向上させるためのパス(1)

クリティカルパスの意味がいまほど重要になったことはありません。DPCが導入されるということがアメリカでDRGが導入されたときのような騒ぎを誘発するかどうかはわかりませんが、試行段階から実質すべて急性期はDPCです、といわれたときにはさらに骨身に沁みてクリティカルパスの必要性が議論されることでしょう。

 多くのパスを導入している病院は、それでも本格的にパスを利用しているとはいえないところが多いようです。今は、病院でオールインワンパスの巧拙について、パス委員会で説明した帰りです。
 少しだけその内容に触れることにしましょう。

(1)三測表の必要性
 パスフォームにおいて三測表(温度板)が必要であるか(少なくとも熱型をみるため以外は必要がないため、検査パス系や入院パス系でも不必要なものが多い。それは別のフォームが良いのではないでしょうか。なお、数検するものであっても、グラフにする必要があるのかどうかについての議論はあります。
  
 なお、これが下にあるパスは、高さが制約され、記載するべきことがうまく入らない可能性もあります。ただ、どうしても利用するのであれば、横だしするなどの対応が必要となります。多くのパスは異常値をチェックすることが必要として、温度板を記載していないパスが多いように感じました。
  
 看護記録化するためのものであるのであれば、SOAPとしての形式を整えるし、フォーカスチャーティングであるとすれば、それなりの記録ができるフォームとすることが必要ではないでしょうか。但し、この考えはオールインワンパスを排除するものではなくフォームが問題であるとの議論です。

(2)パスにおける一日の欄の幅
 パスのフォーマットを決めることは重要です。複数のパスを使うときに、項目が整理されていれば、またフォームが同じであれば理解がし易いと考えるからです。

 しかし、1日の単位まできれいにそろえてしまうと書きたいことが書けなくなり、明らかにパスに記載すべきことが記載されずに、漏れることや、書き方が箇条書きになる、あるいは、うまく伝えられないといったことがでてしまいます。

 したがって横幅を制限しないほうが作成が容易になると考えます。しかし、温度板があるとどうしても横のながさがきれいな定型幅になっていなければ比較がしづらく、グラフの幅により同じ単位でもグラフの形が変わってしまうため、格好の問題だけではなく判断も誤る可能性があります。
 温度板を下部に記載するかぎり、パスの1日の欄の幅は同じにならざるを得ないということになるのです。この観点からも温度板を記載するかどうかについての検討が必要です。
 記載するとしても記載場所や書き方がこれで良いのかどうかについても議論して下さい…(略)


 って、これらは今日の論点のほんの一部です。パスを作成するためにパスを作成するのはやめたいと思っています。実質的に業務が標準化される、業務改革の視点がみえる、仕事がやり易くなる、理解できるやりがいがある…そんなことをいつも考えながら、パスをつくりたい、いやパスづくりや運用だけではなく、多くのツールについて現場での指導を行っています。

 よい病院は、よい医師、よいスタッフがいる病院です。医師や職員がよい仕事をできるよう工夫していく、そんな病院がいま国民にとっても、とても必要な事態になっていることを医療従事者は理解し、主体者として行動することを受容する必要があります(続く)。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 14:10 | トラックバック