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2008年01月28日

医師が働き易い環境づくり(3)

3.報酬・報奨環境
 医師が働きやすいと感じるもっとも重要なポイントは報酬です。また評価です。これは医師だから懸命に働かなければならないということは別次元の話です。

 医師も人です。医師を神聖視するのではなく、人として普通に考えれば、モラルの欠如ということではなく、当然のこととして、やはりやったらやっただけの報酬を得ることができる環境をつくりあげることが期待されます。


 いわゆるインセンティブ制度を導入するということです。インセンティブ制度とは、ある一定の診療活動以上の仕事をするのであれば、その部分を変動的な報酬とする、ということを意味しています。

 最近では麻酔医の先生が年間600件を超えたら一人○万円といった報酬を得るということや、産婦人科が月間30名以上分娩をした場合には、○万円といったことで報酬を支払う契約をしている医師が多数います。

 何人患者さんをみても、報酬が同じであれば、人であれば誰でもモチベーションを下げます。一定程度満足できる報酬を得たのちであれば、報酬には拘泥しないという領域もあるとは思いますし、また報酬には一切日常的な興味を示さない医師もいるでしょう。しかし、彼らをベースに報酬制度を考えてはいけない、といことがいわれています。

 職員は賞与にて、そして医師についてはインセンティブ制度で報いていく。そのことで、医師がやる気を出し、より地域貢献することができるのであれば、インセンティブ制度はおやすいごようです、といった領域に入っていくことができます。

 目標値の設定やインセンティブの範囲。全体としての確保すべき利益を得ながら医師給を増額する(実はインセンティブ制度をとるか、通常の報酬でいくのかについて医師が選択する)ということについての病院での財政からのシミュレーションを行なう必要があります。

 開業した医師が午前1時までムンテラ、朝まで読影といった仕事をなぜできるのか。それは自らが主体的に動けることや収入があがることが理由です。したがって病院であっても、仕事ができる環境づくり、潤沢な報酬があってはじめて医師のモチベーションが向上できる可能性があるという考えかたです。

 医師を経営参加させ、マネジメントにおいて主体的に指示を出せる医師をどのようにつくりあげていくのか。病院としての戦略や具体的な活動が注目されています(続く)。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 00:47 | トラックバック

2008年01月21日

医師が働き易い環境づくり(2)

2.職場業務環境
 職場内環境として、病院の風土や文化が最も重要です。

 アクティブな文化や風土が病院全体を覆っているのであれば、自分の立場や役割が自動的あるいは原理的に明確になり、目標や課題をもって仕事ができるため、医師はある部分、組織の目的と個人の目標をリンクさせることができます。

 これは、働くことの意味を明確に受容することであり、組織のなかで成果をあげること=自分の成果をあげることという意味づけができることにつながります。

 多少の問題や嫌悪する状況があっても、全体のより大きないわば「善」ながれのなかで、意識を一定に保つことができます。ただし、どうしても我慢ができない状況が他にあれば、働く意欲を失うことになります。
 
 いずれにしても、病院の風土や文化がネガティブであり、ヴィジョナリーではないといった環境のなかでは、明らかにやる気を維持することが困難です。リーダーがリーダーとして役割を果たしていないことや、戦略が明確ではないとき、そして他の組織構成員のモチベーションが低い、などといったことがあれば、自らの意思を一定の状況に保つなんらの基盤をもつことができず、結果としてやる気を失うことになります。

 なお、職場環境は、仕事の仕組みや職員との医師疎通の良し悪しによっても大きく影響を受けます。これは単に文化や風土という代物ではなく、実際の仕事のやり方や職員の技術技能に大きく影響を受けるものです。

 (1)で説明したことがクリヤーされていても、実際に仕事をしていくうえで、能力の低いスタッフがいるといったことや、仕事の仕組みが確立されていないということがあれば、間違いなく、医師や余計な心配や行動をせざるを得ません。

 指示が正しく実施されているかについて気をもみ、また病棟に患者をみにくるといった医師がいますが、結局はスタッフの過去からみてきたスキルに不安があることが心底にあります。

 報告がないことで、結局は自分に帰責事由のないリスクを背負わされることの負担には大きいものがあります。医師が良い医師であればあるほど、そうした傾向がでてきます。

 医師が働き易いと考えるためには、文化風土をポジティブなもととするための取り組みを行なうとともに、その医師本人の期待レベルとのバランスではありますが、常にスタッフの質を高める、そして業務改革する体制をつくりあげていくことが必要となります(続く)。


「よい病院、よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 01:54 | トラックバック

2008年01月18日

医師が働き易い環境づくり(1)

 医師不足が叫ばれていますが、病院は医師を自院に留める対応を本気になって指定内容に思います。本気になっているのであれば、方法を間違っているとしか思えないことがあります。

 それは同時に真剣に医師を呼ぶ体制を整備していないことでもあります。
 
 積極的に医師を自院で雇用するためには、医師が、医療に真剣に取り組める環境をつくりあげる必要があります。

 医療に専念できる環境は複数に区分されます。
①職場人間環境
②職場業務環境
③報酬・褒賞環境

1.職場人間環境
 職場の人間環境は、上司と部下の関係、看護師と医師の関係がメインです。

 とりわけ上司と部下の関係が重要です。

 当人が上司であった場合と部下であった場合により状況は異なります。
 上司であった場合、部下が指示に従わない、指示通り動けない、あるいは反駁するといったことがあることで嫌気がさすということがあります。

 ある病院では、4人の部下の医師が病棟で患者さんの受け持ちを8人から0人と決めていて、自分が28人の患者さんを持っている。もう少し診て欲しいというと、なら、大学に帰りますけどいいんですか?と脅されると嘆いていました。このままでは自分が壊れてしまうけれども、仕方がない、と肩を落として仕事に戻っていかれました。

 また、逆であれば、仕事を押し付けられることで、リスクが高い、体が持たない、精神的に負担が大きくなるといったことがあげられます。
 

 ある開業したいという医師は、毎月50人の出産をしている。常勤医は自分だけで、診察、検査をし、麻酔をかけ、出産を行い、場合によっては手術もする。院長は病院の借金を返すためにもっと増やしてくれと迫る。このままでは自分が倒れるか事故か起こるかだ。いますぐ辞めたい。と悲壮な顔で訴えていらっしゃいました。

 また、ある病院では、部長が数人しか患者をもたず、自分が30人をもっている。あまりの過労で倒れてしまった。病室に見舞いにきて、やさしい言葉をかけてくれると思っていたら、ねえねえいつから復帰できるの。大変だから早くでてきてね。と奥さんのいる前で、その上司は言い放ったそうです。夫婦は激怒し、即効院長に辞表を出し、病院を去っていきました。

 これらについては、原則として上司よりも上位の責任者による調整が問題を解決するための方法です。
前者は院長マターの問題であり、上位の責任者がいないケースですが、患者さんには評判のよい医師であり、もったいないというだけではなく、経営のために医師を酷使する病院、任務を懈怠する医師により引き起こされる地域医療の崩壊がここにあります。

 利益のために募集もせず、一人の医師に依存する上司や、自らが懈怠して次々に医師を辞職に追いやる上司の存在について考えなければ、医療は成り立ちません。

 大学に帰ってもいいんですかという医師が部下に多くいる病院は、院長がその部下たちと上司の調整すらせいていません。また、違う病院の話で部下が倒れているのに、早く復帰してくれと常識はずれの行動に出た上司を、本気になって諭してもいないし、強制的に患者さんをもたせてもいないし、首にもしていません(既に部下が3人も辞職しているにもかかわらず)。

 医局の問題には病院不介入という傾向をもつ病院の業績は決まって悪くなっています。思い切って解雇をして訴訟になったり、収益を落とした病院は、のちに必ず復活しています。

 医師の働く環境を、患者さんの立場にたって考える院長のリーダーシップが発揮される病院が増えれば、いまの医師不足という状況も随分解決される可能性は高くなるはずだと私は思います(続く)。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 23:29 | トラックバック

2008年01月05日

時間外の管理について(4)

いままで書いてきた行うためには、総務におけるデータ収集、総務における部署責任者との面談、スタッフとの面談、整理、さらなるデータ整理、課題の発見、対策立案、といったながれをつくりあげていく必要があります。

 但し、一つのことについて作業を行い、その結果どのような成果があげられるのかを常に意識して仕事をしなければなりません。したがて、作業を行う時間が多く、得られる結果が少ない項目については、両者すなわちかけたコストと得られる成果のバランスをとった行動をしなければなりません。
 上記6までの作業について、最終的に犠牲と効果という考え方を以って、どこまでやるのかを決めてもらえればと考えます。

 今後時間外の数値を収集していくにあたり、上記をまず理解して下さい。そのうえで、手順にしたがった作業を行い、単なる時間外管理という視点から、業務改革による、質の向上による時間削減を目指した活動が行えるよう現場を誘導します。上記のまとめになると考えますが、
①各部署別の時間外の推移

②時間外が発生している原因の把握

③原因を排除するための対策の現場との議論

④方向決定(時間外の枠=何時間までは承認する、ということをここで決める)

⑤決めた範囲(=時間外枠)に時間外が収まるよう業務改革の実施

⑥総務からの現場支援

⑦結果として時間外の短縮(=枠の範囲に時間外を抑える)ということが実施されなければなりません。   
 時間外の管理には、したがって、
①部署別の時間外の昨年対比、累積時間外の月次枠対比

②一人当たり時間外

③一人当たり最大時間外時間
を少なくとも収集しなければ目標を達成することができません。勿論、固有名詞で、誰がいつも時間外が多いのかということがわかれば、個人の問題解決までその部門の上司に指示を出す必要もあります。

と同時に、上記であげた時間外の原因となる事項の統計をどこかでとる必要があります。例えば
①患者数の推移

②検査数の推移

③撮影回数の推移

④職場の人員数の推移等々
がそれらです。
 さらに、管理を毎月行う項目、3ヶ月単位で行う項目、6ヶ月単位で行う項目等、情報を収集し判断するタイミングはいつであるのかについて議論する必要があります。
 いずれにしても、時間外管理は単に時間外を減らしなさいということではありません。職員一人ひとりの生産性(1時間当たりどれだけの成果をあげることができるのか)を向上させることの結果として時間外をなくす、ということが王道です。
 時間外を管理する総務はそうした考え方をもったうえで、あらゆる角度から業務改革を誘導することが期待されます。

 なお、今回の話は現場の理解や納得が得られなければ何の意味もありません。まずはいま、コスト全般の節約について全職員が意識をもつよう説明すること、責任者と納得がいくまで方法を詰めること。そしてそれを達成するために病院として、総務として何を支援していけばよいのかについて検討し、現場の業務改革への道に入る必要があります。

 また、データを出す期日は他の数字がでる時期で良いと考えています。バランススコアカードの指標と併せ分析を行える体制を整備していくことが適当です。

 時間外管理を行なうことは、単に時間外の時間を削減しようということを目的とするのではなく、自らの仕事を見直し、自らの力不足を認識し、そして組織としてどのように質をあげ生産性を向上させていくのかという活動であることが理解できます。

 いま置かれている環境のなかで、この問題を解決しなければ、病院は次に進むことはできないと考えています。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 10:41 | トラックバック

2008年01月02日

時間外の管理について(3)

時間外が発生する原因には次のものがあると想定されます。
①患者が増加した

②新人の比率が多い

③個人の技術技能が仕事に追いついていない

④会議が多い

⑤業務が煩雑

⑥仕事の仕方に無駄が多い

⑦書類を作成するのに時間がかかる

⑧インシデント・アクシデントの処理で時間をとられる

⑨他部署との連携が悪く時間をとられる

⑩学会など外部のイベントに出席するための準備
などがそれらです。

 上記の対策は次のものです。
①患者が増加しても対応できるよう仕事を見直す

②マニュアルでより早期に仕事ができるようトレーニングする。あるいは仕事の配分を部署のなかで変えてみる

③②と関連して教育への取組みをより強化する

④会議は決定会議のみに集約。会議のやり方も検討し、開催頻度や時間を短縮

⑤業務フローを見直し業務改善

⑥仕事のマニュアル化、仕事の簡素化

⑦必要な書類かどうかの検討。簡単に作成できるようフォームを再考

⑧インシデントを徹底的にあらいアクシデントが発生しないよう管理

⑨何についてコミュニケーションができていないのかについて議論。例えば職務が本来自部署の行うものではないのであれば、職務分掌を変えることも対策として必要(自部署の業務ではなく他部署の業務として捉え直す)

⑩学会や他のイベントへの出席を行うことの是非確認。そうであれば時間を予定し、その範囲で時間外承認を行う   

 上記から各部署の時間外の枠決定
 現状を現場に説明し、実際にどの程度改善していくのかについて検討します。
そのうえで、仮に枠を決め、そこを目標に行動してもらいます。目標を達成するためには上記対策を実行しなければなりませんので、それができているかどうかを常に数字を見ながら把握することになります(続く)。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 13:27 | トラックバック