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2008年04月26日

業務改革と個人の成長

病院のマニュアル委員会に説明した資料です。

 「マニュアルをつくらなければならないからマニュアルを作成するのではありません。
 必要だからマニュアルをつくるのです。必要に思わない、というのであれば、マニュアルは作成できません。

 いまの仕事のやり方がベストで、これ以上進化できないというところまで行なっているということについてすべての人が自信をもっているのであれば、マニュアルを作成する必要はないのかもしれません。しかし、それはあり得ません。必ず、不効率な仕組みや、整備されていない仕事、そして不足する仕事があります。ないわけがないのです。

 そしてスタッフのスキル(技術技能)がもうこれ以上ないほど高いのであれば、マニュアルを利用した教育や、マニュアルから職務基準を作成し、それを教育の客観的な指標とすることも必要ないでしょう。でも、それはあり得ません。

 また、個人個人をみても、これは得意だけれどもこれは不得意といった一人ひとりの課題が必ずあります。完璧な技術技能をもった人の集団はどこにもないのです。

 また、必要であるのは十分判っているが時間がないのであれば、時間をつくらなけ
ればなりません。
 
今の病院を収益体質にしていくためには、時間を絞りだしていき、そこで改革を行うことが必要です。なお、注意しなければならないのは、改革は改革、現場は現場ということではないことです。

 改革は現場での仕事が円滑に進むためのものであり、また個人の力をつけることも同様です。

 したがって、時間をつくり作業を行うことは、必ず現場に役立つ結果となります。仕事がやり易く、生産性があがり、患者さんに喜んでもらえるスタッフがさらに増え、そしてまた新たな時間が生まれます。そしてその時間を付加価値業務に利用し、仕事はより円滑に、そして個人もより力をつけることができるようになる、というながれです」

 この説明は延々2時間続きました。機能評価もそうですが、形式にとらわれて実質的に成果をあげることができない病院は、時間を無駄にしています。有効に使える時間を、形だけのマニュアル作成に浪費してしまうのでは、あまりにも大きな犠牲を払うことになると考えます。

 機能評価もそれをきっかけとして成果をあげようとすることでの意味はあります。

 しかし、本質的にはやはり、もっと深いところで、意味を理解し、マネジメントのなかでの役立ちを徹底的に伝えることができる管理者がいなければ、結局のところそのときの体験を以降に役立たせることができる人だけが個人的な利益を享受する程度の活動で終わってしまうとある事務長が話されていました。

 その事務長ももう二度と受診しないと話していましたが、結局時期がくると論理的な説明で組織を納得させることができず、再受診をしていました。

 病院という組織は、人の良心に依存し、使命感に依存して成り立っているだけに、マネジメントがなくても、成果がある領域まではあがるという事実があり、それが逆に誤解や障害になってシステム的な活動を阻害している側面があります。

 マネジメント力のある幹部が育ってくることで、新しい病院運営が行なわれなければならない時代を迎えているのでしょう。何れにしても、マニュアルを業務改革と個人の成長の道具として使いこなすことが求められています。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 16:31 | トラックバック

2008年04月10日

何があっても前進。多くを乗越えてきた看護師さんたち

護師のSさんは、ある大手病院から私たちの山陰のクライアントの病院に顧問として請われてきました。看護部の課題や前看護部長のできていないことを一つひとつ、絡んだ糸をほぐすように、解決してきたのです。

 看護部としてのビジョンや何をしなけれならないのかについて彼女は考えました。ベッドサイドに看護師がいないことに注目したのです。「現場に強い看護師」これが今回の改革のコンセプトです。

 そのためには、看護体制や配置の変革から、管理者、監督者、そして担当者がひとりの患者さんをきちっと看て行く。そんなかたちをまずつくる。それからそれぞれがきちっと合理的に動けるための看護プロセスの確立。そのうえでDPCを準備するためには、パスを実質的に使いこなすスキルをもった看護師を育成しなければならない。

 私たちが支援する。マニュアル委員会、リスクマネジメント委員会、パス委員会、教育委員会との連携をとりながら、それぞの看護の質を高めるための活動とリンクさせる。
 ディスチャージは、ベッドコントロールを体系的に行なうためのスタートであり、医師との連携を地域連携室と協働しならが実施する。そんななかに高密度で質の高い医療を志向する。

 院長が提示した経営方針を看護部の方針とすり合せ、看護部の活動が病院全体の一部を構成することで、全体が最適化される、そんな整合性のある活動が行えるようSさんは、新看護部長と歩調を合わせ改革を行っていくことでしょう。

 なお、指標委員会で提示された指標を看護部としてどのように目標化(先行指標化)しながら客観的な活動をしていくのかについては、これからのテーマです。
 まずは原点に戻り看護師が患者を軸としてどう活動を組み立てなおすのか、それがSさんの大きな目標となっています。

 一方のNさんは、関西にある私たちの別のクライアントの新任部長です。礼儀正しく、明るくほがらかで、彼女が若いときは、本当に天使のような看護師だったのだろう(いまでもとても素敵です)という看護師さんです。看護師はまず人間性という話をしてくれました。

 病院の会議室の前で、しばらく待たせてしまったとき、お待たせしてすみませんというと、いえ全然待っておりませんと笑顔で応えたNさん。看護部のあり方、マネジメントのあり方、中間管理者の育成の問題。病院の経営、他部署の課題。

 私たちが行なっている改革についての提言。きちっとした話し方で、自分の考えを理路整然とそしてよどみなく、落ち着いて話すことができるNさんは、一般の社会にでても、りっぱに管理職として、そしてリーダーとして仕事をこなしていける人であると思いました。

 笑顔で、はきはきと、話ができる。そして何かにめげる、といった言葉がないと思われるほど、積極的でしかし、相手を思いやり、意見をいう。ただ、問題点や解決していかなければならないことに対しては、きちっと、厳しく指摘をする。

 さらに、Nさんは、看護部をどのようにつくりあげていくのかについてのビジョンをきちっと話してくれました。仕事がら、たくさんの看護師さんや看護部長にお会いしてきましたが、Nさんは、トップクラスの看護師さんであり、尊敬できる看護部長であると思います。こんな看護部長がいる病院は、私たちの仕事もとてもし易い。成果が目に浮かぶ病院です。

 Sさんは力強く豪腕に物事を進めるタイプであり、また、Nさんは秘めたものをもちながら調整的に物事を進めるのでしょう。4月になり、皆が何かをしなければならない。何かを変えていかなければならない。何かをつくりあげていかなければならない。

 そんな風に思っている。それが大きな力となって、足元をつくる。組織を変える。そして本当に何が正しく、どうすればきちっと仕事ができていけるのかを考え行動する。

 結果、それぞれの組織がもっている機能を十分に果たし、その組み合わせのなかで社会が成り立ち、成果があがり、関与する人々がみな幸せになる。そんなながれができてくればいい。

 すてきな看護部長さんたちにお会いした爽やかな余韻が心に刻まれました。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 00:38 | トラックバック

2008年04月02日

集合教育について

医療環境が厳しくなればなるほど、教育が必要となります。
ある病院で、教育体系について議論しているとき、集合教育に話が進みました。
以下について、説明しています。

集合教育は、
①各部署で必要な教育を集合教育で実施する
②病院として必要な教育を集合教育で実施する
 ⅰ)内部で実施
 ⅱ)外部で実施
というアプローチがあります。

これらがバラバラに行われるのではなく、全体として整理されて管理される必要があります。
 
まずは、各部署で実施する集合教育のスケジュールを集め、それを全職場に開示することが必要です。そのことによって、他の部署の集合教育に対し、さまざまな部署が自身に関連するもの、あるいは関連しなくとも他部署を理解する必要から、他の部署の集合教育に参加することができる環境をつくります。

また、職場内教育で教育しているスタッフに、この部分については集合教育において、職場内教育で足りない部分を補完することになります。
 
内部でできないことは外部にいって情報を得ていく必要があります。しかし、外部での集合教育はどうしても概念的な一般論的な話になりますので、リアリティが聴講生の頭なかでつくりあげられる以外に集合教育を活かすことはできません。

すなわち、これは自院ではどうなのか、というように聴講生が考えながら話を聞くということですから、どうしても直接院内で状況に合わせた話を聞いたり質問したり考えたりすることとは、実質的な成果を考える部分では乖離が生まれると考えられています。

知識を得るための外部の集合教育はよいとしても、院内で発生している問題解決をダイレクトに行うためには、院内で集合教育を行うことのほうが効果があがるという根拠です。
できるだけ院内での集合教育をベースに行うことが必要です。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 00:32 | トラックバック