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2008年09月21日

DOCセミナー in 大阪

本日は、監事をさせていただいている日本DPC協議会の大阪でのセミナーが大阪リバーサードホテルで開催されました。
 
協議会副理事長である古城先生の開会でスタートしたセミナーでは、医療費適正化計画と病院の将来像として大西証史医療費適正化対策推進室長から講演をしていただきました。

マクロからの医療の現状を俯瞰して、これからの医療制度の方向をお話いただきました。

折りしも今朝の新聞に後期高齢者医療廃止という記事がでたあとで(大西室長のレジュメには後期高齢者医療の説明も含まれていました…)ご本人も、新聞記事ではじめて事実を把握したというように話されているなかでのセミナーでした。

そして、われらが国際医療福祉大の高橋泰先生に、大西室長のご説明の解説をも含め、実は医療はこれを目指しているという先生の考え方を非常に分かりやすく説明していただきました。

高度急性期医療=DPC+亜急性、そして地域一般病床、療養病床という考え方を二階建て方式として説明していただき、医療のスリム化、ベッドのスリム化をベースに一般病床も包括化に向かうということの確認をさせていただきました。

そしてDPC病院は、調整係数が医療費の削減を調整するかたちで、機能していることを丁寧に説明していただきました。

午後には、赤穂中央病院の古城先生を座長とした調整係数廃止後のDPCの姿というテーマでシンポジュウムが開かれました。

仮に調整係数を廃止すると15%医療費が下がり、99%の病院は即死するという古城先生のお話でスタートをきったシンポジウムでは、浜脇整形外科病院の浜脇理事、新須磨病院の澤田先生、そして、加納総合病院の加納先生から、それぞれ貴重なお話がありました。

浜脇理事からは、単科病院として業績をあげているが、DPCは総合病院を優遇しているということや、
税金を払っている病院とそうではない病院、補助金を受けている病院の同じレベルで点数を考えるのは不公平だという指摘がありました。

また、澤田先生からは、手術をたくさん実施することで、収益確保を行っている自院が、DPCを導入するときの苦労をご説明いただきました。

さらに、加納先生からは、二次救急は民間病院が大半を担っていること。そしてそうした体制をとることで地域医療を守っていること。さらにそうした体制を整備するためにはコストがかかることをエビデンスをベースとして説明をしていただきました。

シンポジウムでは、調整係数がないあと、機能係数をどの部分で手厚くするのかというテーマで議論が始まりました。プロセスか、質かという議論でしたが、結局質の評価をして点数を厚めにしていくとうことについては意見が整理されず、これからの課題になりました。

自治体病院で政策医療をするのであれば、そうした色を強くだせるようにして欲しいということや、業務改革に必死になって取り組んでいる民間病院とそうではない病院が多い公的病院とを同じテーブルに載せるうことはおかしいという議論が再度行われ、盛り上がりました。

いずれにしても現在の調整係数は病院の機能の評価をした結果の係数ではないこと、しかし、調整係数があることで、医療費のマイナスをカバーしていること、廃止されたあとには、大変なことになるという認識がセミナー全体でよく理解できた思いがあります。

私のクライアントもいくつか出席していて、休憩のときに意見交換をすることもできました。

日本の医療をどうしていくのか、自分の病院の利益をも考慮しながら、しかし日本の医療をどうするのか、どうしていくのかという議論ができていたことは素晴らしいと思います。
浜脇理事の、もう誰もたすけてくれない、自分達が改革をして生き残っていこうという言葉が耳から離れません。

そして最後に、日本DPC協議会の理事であり、大阪セミナーのアレンジをしていただいたベガサスの馬場先生が、閉会の話をされました。

馬場先生は大変な時代にエビデンスをもって科学的に厚労省に意見を出していこう、そしてよい医療をつくっていこう、日本DPC協議会に多くの病院が加入していただき、一緒に活動していきましょうということでまとめていただきました(病院職員の方々をセミナーに派遣していただき、大変ありがとうございました)。

10時から16時までの長丁場のセミナーでしたが、あっという間に終わったという思いがあります。

ここで話をされたアクティブで、そして志をもった先生方の病院のような病院が増えれば、日本の医療は本当によくなるのではないかという感想をもちました。

いずれにしても、これからの医療を常にウォッチし、生産性や医療の質をどう高めていくのか、そして日々現場でどのように行動していけばよいのかについて考えるよい機会にできればと考えています。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 00:57 | トラックバック

2008年09月20日

医療相談及び地域連携の現状(1)

医療相談や地域連携は病院戦略の帰結です。

すなわち、どのような患者さんをみるのか、どのような患者さんをみないのかといった政策を、かたちにしたうえで、患者さんを紹介してもらう、また紹介するといったことを考えることになるからです。

その意味で、まず現状把握をする必要があります。現場でのオペレーションはうまくできているとしても、政策を明確にすることで、方向を定めたり、具体的な行動を惹起することができるようになります。

まずは、現状を分析し、次のステップに進むことが適当です。

現状分析を行う必要があります。

(1)紹介状の管理
貴院では、紹介状を整理し、履歴を一覧表としています。現状では、それらを有効に活用していません。
これからは、
①どの期間に

②どの診療所や病院から
  
③どのような疾患について

④何件の紹介があったのか
  
⑤返送は何十%なのか

といったことを調査しなければなりません(続く)。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 02:51 | トラックバック

2008年09月12日

個人カルテによる教育について(3)

4.バックグラウンドへの対応
(1)考え方
 人は「あなたが必要である」というサインによってバックグランドをつくりあげていくと考えます。常にあなたが必要であるというサインをどのように提示していくのかといったことを模索するなかで、過去枠組みがつくりあげられてきたとすることが適当です。

 まずは、すべてのスタッフに、自らをも含め、あなたが必要であるというサインを組織として送り続けるための仕組みをつくりあげていくことが相当です。あたなが必要である、ということは、信頼であり依頼でもあります。
ただ、組織はその程度によって仕事の重要度や緊急性における役割分担が行われるわけですから、信頼の度合いや依頼の度合いが個人別に異なることは当然です。
   
 これらを理解したうえで、仕事は一人ではなく、組織で行うものであり、組織構成員全員は、あなたが必要であるという意識をもってもらうための新しい枠組みをつくりあげるための行動を行うことが必要です。

(2)具体的活動
①伝統的に必要であるといわれてきた枠組みの検証を行う
②それらを継続的にあるべきかたちに整備する
③単なる意識改革ではなく、具体的な仕事の進め方を中心とした中間管理者教育を継続的に行う
④チーム医療、コミュニケーション強化のための具体的取り組みをあらゆる機会を通じて誘導する
⑤人事考課制度の見直しだけではなく、継続的意識調査などの継続的評価のための手法を導入する
⑥看護部におけるラダーシステムと類似の教育が各部署で導入され、各部署なりの個人バックグラウンドづくりを推進できるよう誘導する
⑦新たにバックグラウンドづくりのための手法を開発する 
といったことが考えられます。

5.まとめ
これらについては、個人カルテを展開するプロセスにおいて並列に検討し、実施し
ていくべきものです。範囲が広いため、政策の一つとして捉え、教育制度の枠の中で議論すべきことであるので、今回説明をさせていただいたことをご理解下さい。
 
個人カルテの考え方についてスタッフ全員に周知することとともに、いわゆるバックグラウンドについての考え方についてもなんらかのかたちで説明をしていく必要があります。病院幹部は今後のテーマとして再度認識をしていただくことが適当です。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」 

投稿者 石井友二 : 23:32 | トラックバック

2008年09月11日

クリティカルパスの本当の意味

カレンザンダーさんが1980年代に創出したクリティカルパスは、もっとも早くうまくプロジェクトを成功させるための重要な経路という意味ですが、その本質はどこにあるのかを理解しなければなりません。

コスト削減や、標準化や、患者別疾病別原価計算の基礎、医療の質の担保や、在院日数の短縮といった目的をもつツールであるとともに、そのプロセスにおいては
(1)PDCAツールである
(2)問題発見ツールである
(3)自分の行動を振り返るツールである
といったことが追加的に考慮される必要があります。

DPC時代において、DPC病院は高密度で質の高い合理的な医療を行う必要があるといわれています。
急性期病院のあり方として、たくさんの患者さんに来院していただき、早期に退院していただく、といったキーワードがみえてきます。

結局は、患者さんが多く、手術が多く、早く退院していくといったシステムをもって、ある治療を他に比較してよりよい成績で行うことができるという要請があります。

そこでは、スタッフやそして医師が、常に生産性を高める努力をしなければなりません。そもそも医療はそうしたニーズに基づき、成果をあげるためにさまざまな研究が行われ、治療の方法や投薬の内容が変化してきているわけですが、マネジメントについても同様です。

パスは、まずマネジメントの要請から、仕事の質をあげることが求めれ、業務改革を行うためのきっかけをつくる。
次のステップとしてそのプロセスで質を落とさない。短期間で治療できるということを目指していく間に質をあげていく。といったながれで医療に貢献するのだと理解しています。

PDCAを実施する。そしてそにおいて、何を発見するのか。発見したものをどのように改革していくのか。それらを行うためにまず自分の仕事の広い意味での振り返りを行うことができる。といったことに注目しなければなりません。

パスどおりに行動する。バリアンスをチェック。問題の発見。改革の実施。パスの改定。そしてよりよい
パスを作成することで、合わせた行動を行う。さらに、問題を発見といったPDCAそのものを廻す。そ全体を俯瞰して当該治療を総括することになります。

なお、地域連携パスにしても、外来パスにしても、結局は同じロジックです。

なので、ただパスを指示書として、DO事項としてのみ利用しているだけの病院は、進化がないことに気がつきます。またバリアンス(標準と実績の乖離=逸脱)をとっているものの、徹底して乖離をなくしていこうという意志や、考えがない病院は、いくらバリアンスをとっても、使えきれない、いい加減に扱う、ということでは、まったく意味がありません。

質をあげる、生産性を向上する、コストを下げるという目的をもって、パスを利用するという気概がなければパスの機能を最大限引き出すことはできません。パスは奥が深いとよく考えます。
医師もスタッフも、この部分について十分に留意して、楽であるから、とか目安として、とか、いうった気持ちを払拭する必要があります。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 00:19 | トラックバック

2008年09月06日

DPC5段階説。分かりやすい整理

ホワイトボックス社は、DPC5段階進化説を唱えています。まず第一段階は、出来高とDPCの比較やベンチマークにより、点数を合わせる行為、すなわち何をやめたら収益をDPCに合わせることができるのかといった作業です。

まさに、医療行為を止めたり、検査・撮影を止めたり、投薬をしないようにお薬をもって入院してもらうといったことや、ゾロを使うといったことがそれです。

これはどちらかというと、DPCの求めている医療の質を維持しながら効率をあげる線を狙う作業です。この段階で危機感をもって、パスの日数をⅠ、Ⅱ期間に合わせたりする時期でもあります。

そして第二段階は、そうはいっても、病院の損益構造は病院によって異なるため、自院の原価を把握し、そして現状を認識することや、原価のどこを低減する可能性があるのかについて行為そのものをなくすだけではなく、より精緻に原価側から理解をしていく段階です。

部門別損益で一次集計をすることで間接部門や補助部門の予算を確定したり、配賦前の原価自体を引き下げる活動を行う段階です。そもそも、ここでは増患をすれば、固定費の患者一人当たりのコストは低減するため、増患を真剣に考えるフェーズでもあります。

前後連携や、介護領域との連携、プロモーションや、本来の戦略を明確にして病院の特徴を出し、患者を呼ぶ特徴ある治療について議論する段階でもあります。

ブリーフィング制度を導入し、医師に管理指標情報や原価情報を提供し、何をしたいのか、どうすれば自分の治療を外部に伝えていけるのかといったことを決定することや、スタッフにおいては、医療看護、医療周辺行為のスキルをあげ、生産性を向上させる段階でもあります。

さらに第三段階は、そのようにして管理した利益の目標額を決定し、それを充足した余剰分をどのように医師のやりたい医療に投入していくのかということをシステム化するフェーズです。

すなわち、病院全体の損益分岐点を引き下げ、そして個々の治療の原価管理をしたうえで、増患する。利益をコントロールしたうえで、病院全体の利益をプールし、そこからどれだけ各科の先生が利益を使ってよい医療や自分が医師として求める医療をしていくときに病院として支援をしていく段階です。

第一段階でやりたいことを絞り、行為を外来化、あるいは止めてしまったものがあるとすれば、それを第二段階で検証し、利益が出るように増患するとともに原価企画したうえで、利益をプールし、第三段階でおもいっきりその一部を投資や医療行為のコストアップに振り向けることで、医師のイニシアティブをより強いものとしていくことを言っています。そして、第四段階に入ります。

第一から第三まで来たことにより、結果として強みがグンと増し、病院の特徴をより強くする。そして経験曲線を下方に伸ばし利益をさらに出す。ここでは本来の医療が行える体制が整備され、DPCを単なるコスト削減の道具としてではなく、医師の主導のもと、医師の力を120%引き出すことができるフェーズとなります。

このあたりにくると第二段階での必要性からはじまったスタッフの教育や業務改革といったものが定着し、接遇についてもクレームについてもある程度の領域を担保できることから、患者さんからはスタッフも医師も合目的<患者さん本位>に仕事をしているとの評価をいただき、信頼、信用、安心の医療、すなわちブランドが生まれることになります。

第五段階は、さらに病院の強みを発揮するため、ある程度治療の内容が絞られ、ポートフォリオが組まれることになります。すなわち、いわゆる一般企業でいえばPPM<プロダクトポートフォリオマネジメント>医療でいえば、PCM<ペイシャントケアマネジメント>が採用され、その病院の経営資源を最適化する治療の組み合わせが決定してくることになります。

どの治療をすれば、利益も上がるし、治療効果も高い、そして患者さんも安楽であるといった診療科や治療の組み合わせが当該病院で決定される段階です。国はある病院があれもこれも医療を提供するのではなく、地域で役割分担をしながら強みをつくり、それぞれがある分野や領域で特化できるようになることが全体として医療の全体最適を得る方法であるという仮定でDPCを組み立てていると我々は考えています。

であれば帰結はそうしたPCMということになるわけですが、プロセスを経てそこまでこないで、第一段階からいきなり第五段階にくると、間違った方向に進んでしまうという懸念があります。

もちろん、地域的にそうしたロジックが成り立たない病院が地方にはあるのですから、二次救急をどのようにするのかという意味では、PCMを超えた国からの支援が必要になるという議論は排除できません。最大限努力したうえで、すなわちすくなくともすべての急性期は第一段階から第四段階まではすべてクリヤーしたうえで、第五まで進める病院と進むべきではない病院、進んではいけない病院に峻別されることになると考えています。

ただ、原則は第一段階から第五段階までジュンを踏んで進化していくなかで、医療の質は向上し、結果として効率はあがり、コストを引き下げ、その分、多くの患者さんを救うことができる医療体制が整備されるという考え方に立つことが必要であると思います。

今の医療費を増加せず、少ない人員で、多くの治療をしていくためには、誤解を恐れずにいって病院数を集約し、大規模化し、高度施設化し、教育を徹底し、ある程度の領域で専門化していくことが適当であるとしているのです。この仮説の検証をこれから日本全体でしていくことが適当であるとホワイトボックス社は考えています。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 03:13 | トラックバック

2008年09月05日

勝ち残る5段階で進めるDPC戦略(6)

3.横断的段階 循環型医療介護のシステムづくり
なお、DPC病院は地域のなかにおける連携をより強化していく必要があります。それは前述した増患ということだけではなく、退院支援の観点からも説明することができます。

当たり前のことではありますが、DPC病院は退院する先が確保されてはじめて入院することができるからです。

当たり前のことではありますが、増患とディスチャージがうまくできて、患者さんがその患者さんにとっても最も適した場所で治療や介護を受けることができていないことが多くあります。

急性期、回復期、維持期という医療の各段階と、施設や在宅における患者さんの移動はとても重要な意味があります。

それらは特定したながれのなかで成り立つのではなく、また、一方通行ではなく、複雑に絡みあいながら、関係をつくりあげていきます。どの場所でどのような医療やサービスを受けることがベストであるのか。

患者さんの全状況を早期に把握し、あらゆる手段を活用し計画的かつ安楽にそうした場を得ることができるようシステムがつくりあげられなければなりません。

第1段階から第5段階すべてをカバーするかたちで、循環型医療介護が行える体制を整備していかなければならないと考えているのです。敢えていえば、この部分は独立して議論すべき重要なテーマであるということができます。

4.結論
DPCは、単なる出来高に代わる包括請求制度であるというものではありません。
明らかに医療の原点回帰を促す医療改革ツールです。

多くのDPC病院で、DPCがあることにより、医療の見直しを行い、疾病別の治療内容の見直しを行い、パスを見直し、在院日数を見直し、医療の質を担保しながらコスト削減を行いました。


業務の見直しを行い、個人のスキルをどう高めていくのかについて真剣に考え、懸命に医療を守ろうとしています。

DPCが求めている本質を理解せず、単に包括医療という捉え方により、ベンチマークをすることで表面的な診療行為の削減だけしか行えない病院は、結局のところ医療を継続していくことは困難です。

自院は上記5段階のどの段階にいるのか、また、各段階で行うべきことを行っているのかについて十分に議論しなければ取り返しのつかないことになります。

医師への情報提供やブリーフィングシステムを通じて、医師を中心とした医療原点回帰のための良心を取り戻す闘いを行うことが必要です。

診療行為カットやベンチマークにとどまらず、DPCの求める本質的な活動を展開する活動を共に行っていきましょう。

5段階のDPC病院戦略構築は、ホワイトボックス社にご相談ください。

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投稿者 石井友二 : 22:48 | トラックバック

2008年09月04日

個人カルテによる教育について(2)

何れにしても、
①具体的な技術技能

②それらを発揮するための意識や意欲、姿勢や態度
を個人教育の対象とするための方法を確立する必要があり、とりわけ後者についても
なんらかの対応をしなければなりません。

(3)教育方法 
個人カルテは、あくまでも職務基準から必要な技術技能を明確にし、それを以って個人別のその段階で必要とされる技術技能を修得させるための道具として利用すること、そしてそれらに関わる日常行動から不足する部分を常にウォッチし、そこから新たな課題を発見する、といったことのために利用します。

意識をもつこと、意欲をもつこと、姿勢をもつこと、態度を改めること(以下バックグラウンド)についてまで個人カルテの対象とすることは、個人カルテの機能を不明瞭にすると考えられるからです。前述したように、それらについては別途の教育の枠組みをつくりあげていくことが必要であると考えます。

そもそも、バックグラウンドは、単純な意味での教育から生まれるものであるとすることに疑問があり、他の病院全体の取り組みにおいて、総合的に醸成されるものであると考えることが適当です。

したがって、個人カルテによる教育そのものをも含め、マネジメント全体のなかでどのように取り組むのかを幹部や管理者が意識することに意味があると考えます。

(4)バックグラウンドの育成
バックグラウンドの育成は、考え方として次のことがその方法であるといわれてきました。
①ヴィジョナリー経営   

②①を受けた明確な戦略

③②を受けた具体的な目標

④③を受けた個人目標の設定

⑤職場のリーダー育成

⑥職務分掌の明確化

⑦権限の明確化

⑧役職の付与

⑨委員会活動など役割の付与

⑩明確な仕事の割り振り

⑪仕事を円滑に推進するための医療ツールの整備

⑫継続的な業務改革

⑬継続的な評価
いった柱がそれらであり、そのことによって、

①コミュニケーション強化
②チーム医療の推進
といった副次的効果を生むことにより、より組織との一体化、自らのポジションの明確化といったことを推進し、結果としてバックグラウンドをつくりあげようとするものでした。

組織におけるバックグラウンドは、組織における自らのポジションによって変遷します。当初は自己的であったものが組織のなかで他のスタッフとの融合を繰り返しながら仲間的に変化し、さらに組織を率いるポジションのなかで組織的に変化していくといった経路がそれです。

これらの自然なながれをつくりあげるために、上記の枠組みをどのように整備していくのか、そしてあらたにどのような方法を追加的に導入していくのかについて議論を行う必要があります(続く)。


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投稿者 石井友二 : 12:51 | トラックバック

勝ち残る5段階で進めるDPC戦略(5)

〔第4段階  自院の強みを伸ばすことでの利益確保〕
第3段階で、つくりあげた制度に後押しされた医師やスタッフの思いが患者さんを集めることになります。意思がやりたいと思う医療が定まり、コストをかけながらも医療の質が向上します。そのことは多くの同一疾患の患者さんの治療を行うことにつながり、そこでのスタッフや医師のスキルを高めることになります。

経験曲線を伸ばし、コストを低減させることになります。経験曲線は、累積の生産量が増加すれば、コストは一定割合で逓減するという理論ですが、医療においても、たくさんの患者さんの治療をしていくことで、スタッフや医師の熟練度が増加し、結果として、利益がダブルで増えてく結果を得ることになります。

つまり患者が増え、固定費が逓減することの利益(場合によれば一人ひとりの変動費自体が逓減されることによる利益)。一定期間における多くの患者さんの治療を行えることによる一人当たり利益の総和が増加することによる利益増がそれです。

第3段階を経て、損益構造を理解したうえで、行うべき医療を行うことができる、メリハリのある本来の医療を取り戻し、そこで良い医療を行い、強みを確認する、あるいは伸ばし、患者を増やこと。そして利益をコントロールしながら病院全体を活性化すること。
第4段階では、そうしたことをテーマとして活動することになります。

〔第5段階 ポートフォリオにより自院の診療内容をより明確にする〕
この段階になると、医師がやりたい、やり続けてきた治療を患者さんが評価し、その治療を目指して患者さんが病院に集まってきます。

この病院は、眼科でいえばこの疾患。ウロでいえばこう。内科であればこれ。外科であれば、これこれ。そして整形であれば、脳外であれば、心臓であれば、この疾患といった具合に各科別の医師が得意な疾患の患者さんが増加してきます。

小児や産婦人科でももちろん、皮膚科や形成、あらゆる診療科においてそうしたながれができあがってくることになります。
この段階からは、さらに集中と選択を行うかどうかを決めます。

病院全体の利益を計画し、外来と入院でそれらをどのように収益をあげていくのか、利益を確保していくのか、各科別ではどうか、各科ではどの治療は自院でするか、どの治療は他病院に紹介するといったように、自院でなんでもかんでも行うのではなく、自院の経営資源を最大活用できるよう治療を進めていくことになります。

これは、ある治療を拒否するというよりは、自院が行ったほうがより早くよりうまく治療ができると考える治療は自院で行うが、そうではない患者さんについては、他の病院に紹介をすることが、社会全体でみれば資源を最適化できる、そして病院にとっても利益を最大化できる、ということを意味しています。

手術室の利用できる時間や手術にかけることができる医師やスタッフの時間は有限です。自院が他院より優れている治療を優先的に行うことが、患者さんにも自院にとっても、そして他院にとっても、すべてにわたり意味があると考えます。

自院では、各科別にこういう医療を行う。それぞれ、他に誇れる治療はこれである。これについて以外は、他病院に逆紹介する。そして経営資源を最適化し、利益を最大化することがDPC病院第5段階のテーマとなります。

なお、上記は、ある地域に複数の病院がそれそれの特徴を出しながら存在しているということが前提であり、ある診療圏に自院以外の病院がなく、自院が当該患者さんの治療をしなければ、近隣では誰も治療を行うことができない立地にある病院では、上記は採用できない対応です。

いずれにしても、ここに到達するまでに、当該DPC病院においては、必要とされるすべての制度や仕組みがつくられ、個人の技術技能は向上し、医師が病院の方針のなかで、自ら行いたい医療を一定の裁量を以て行うことができる状況ができあがります。

この段階をクリヤーすれば、DPC病院は、高密度で合理的な質の高い病院として十分に機能し、地域に貢献することができるようになるのです(続く)。

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投稿者 石井友二 : 12:36 | トラックバック

2008年09月03日

勝ち残る5段階で進めるDPC戦略(4)

〔第3段階 質を向上させるための利益プールからのコスト配分〕
ところが、この段階にくると医師は少し不満がでてきます。なんでもかんでも削減しろ、収益をあげろという動きはスタッフや医師のモチベーションを下げてしまうことになりかねません。

よい医療をしたい、患者さんのためにというメンタリティが維持できなくなることがあるからです。そこで、第3段階があります。第3段階では、医師のモチベーションを上げるため、一定のコストをかける段階です。第2段階で病院全体の損益構造や、診療毎の原価が把握され、利益をコントロールすることができるようになります。

いくらの利益を得るためには、このような診療活動をしていこうといったおおよその利益計画をもつととともに、この治療をすれば、これだけの利益があがるという情報を確保することができるようになるのです。

この段階からは、ではこの利益は診療のため患者さんに返そう。もっとよい医療を行うための原資にしようという戦略をとることができます。すなわちこれだけの使っていい利益をプールしました。医師の皆さんの裁量で、患者さんのために、この資金を使ってください。というアナウンスメントやサポートを行うことになります。

検査をしたい、撮影をしたい、ジェネリックを使いたくない、抗生剤はもう少し投与したい、この治療をしてあげたいといったことについて、医師の医学的な要請や、医師のやりたい医療をしたいとう思いをこのプールから捻出することになります。

その場合には、病院の考えとして医師毎に裁量の枠を決めるというやり方や、治療毎にパスを変えていくという普遍的な利用の仕方を採用することもあるでしょう。いずれにしても、いったんコストを低減する方向に進んだものを、揺り戻しをかけ、コストを患者さんのために使うといったながれをつくりだすのです。

もっとも、利益プールは当初つくりあげた利益のうちのどの程度とするのかについては、病院の政策ですから、最終的にどれだけの利益があればこの病院が運営できるといった事業計画や資金計画により、判断をしていくことになります。

当たりまではありますが全部使ってしまうということは意味がなく、医療の質を向上させ、病院のブランドを高めていくために、本当に良い医療をしたいという病院の姿勢を示していく部分としてブーリングされた利益を患者さんのために使うということが第3段階のテーマとなります(続く)。

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投稿者 石井友二 : 13:25 | トラックバック

2008年09月02日

個人カルテによる教育について(1)

1.はじめに
 個人カルテを利用して職場内教育を行うことにより、スタッフ一人ひとりの課題を明確にした的確な教育を行うことが可能です。それらの方法について確認し、全スタッフが自らのスキルを高める活動に入ることが必要です。


2.内容
(1)職務基準による評価
 職場内教育については、まずは、職務基準をベースに課題を抽出し、カルテに記載します。課題を解決するために、各職場においてどの資格にある者は、どのような技術技能をもっていなければならないのかを職務基準(補完的にマニュアル)で確定し、現状と職務基準を照らし合わせながら課題を発見します。

 課題をカルテに記載したうえで、個人と上長でそれをチェックしながらつぶしていくという作業を行います。職務基準で課題を明確にし、具体的にマニュアルによって教育をしていくというかたちをつくります。

このように職務基準が個人の教育の前提となります。病院全体にどのような職務があるのかについてマニュアルをより詳細に分析したかたちで職務基準を作成し、それをもってスタッフが有していなければならない技術技能の基準とすることになります。

古くから一般的には目標管理制度において業績評価を、そして人事考課において、業績をも評価しながら情意を評価することで個人別の課題を発見しようとしていました。

 しかし、実際には人事考課の情意効果におけるにおける能力評価はあくまでも概念的(潜在能力から発展し、発揮能力を評価するといったラインまでは到達しているようですが)なものを規定することが通常であり、なかなか具体的な部分にまで切り込んでいけなかったという感があります。

 具体的に個人の能力を明らかにするためには、職務基準といった部分をより明確に打ち出すことが必要です。
 
(2)意識、意欲、姿勢、態度
勿論組織における人の動き方は、知識や技術技能だけではなく、意欲や姿勢、態度によって決定されるものではあります。したがって意欲の醸成、姿勢や態度の矯正あるいは、意識改革による仕事に取り組む態度等については、別途これを行う必要があります。

基本的に、これら「情意」に対する教育は、ある意味常識に由来するものと、職業から生まれる倫理、さらには仕事一般に対する姿勢や態度といったものを喚起するかたちで行われることが適当です。
①社会人としての常識

②医療従事者としての使命感

③仕事の役割分担の達成義務感

④権限の付与による責任から生まれる意識

⑤学際的な組織論やリーダーシップから求められる意識
などなどさまざまなかたちがあります。

少なくとも入職何年目、職位に関連づけた職務基準が作成されていますので、それら入職年数や職位に関連づけた役割分担や責任の所在を明確にしたうえで、それぞれどのような意識で仕事に望まなければならないのかについて教育を行うとともに、さらに意識をもつための意欲をどのように醸成するのか、意欲の発露としての姿勢や態度をどのようにもってもらうのかについて具体的な方法を確立する必要があります。

 一般的に看護部においては、歴史的にラダーといったかたちで、技術技能だけではなく、このような情意のなかの意欲や姿勢や態度や態度にまで切り込んだ教育制度をもっていますが、どちらかというと感覚的なもので、明確な尺度をもっているとはいいがたい部分も残しています(続く)。

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投稿者 石井友二 : 19:17 | トラックバック

勝ち残る5段階で進めるDPC戦略(3)

〔第2段階 病院原価の計算による自院の損益構造認識〕
 第1段階では、DPC病院としての基礎をつくるわけですが、あくまでも収益ベースでの診療報酬への取り組みや、生産性の向上のための対策や増患がテーマになっていました。
そもそも、いくら収益をベンチマークにより揃えても、それぞれの病院の損益構造は異なります。

 ある病院は建物や施設が新しく、また医師も給料が高い。看護師の年齢は低く人件費は低いが、生産性が低くアクシデントなどのロスが多く発生する。リース料は他の病院よりも安いが、医療材料の購入価は高いといったようにさまざまな構造をもって病院は運営されています。

 したがって、収益を揃えても利益が異なる。また支払条件や未収金の発生などによりキャッシュフローも異なるといった状況があります。そのようななか、ベンチマークだけやって喜んでいるわけにはいきません。ベンチマークやなくなってしまう出来高との比較を繰り返しても、一定程度の成果をあげることしかできないことに早く気がつかなければなりません。

第2段階では、原価に切り込み、またコストにより深く切り込み利益をどう確保するのかといった段階に入ります。
①部門別損益計算
②診療科別損益計算
③指標管理
④患者別疾病別減価計算
がその対象です。

 当社では10年以上これらの病院管理会計に対する支援をしてきています。部門別損益系計算や診療科別損益計算を徹底して実行する必要があります。これらにより、病院全体として、どの部署に問題があるのは、また、どの部署に解決すべき課題があるのかを鮮明に理解できるようになります。さらに、DPC毎の原価を理解することで、どの治療にはどれだけの利益がでているのかを直ちに理解することができます。

 ただし、患者別疾病別減価計算においては、部門別や診療科別から計算される治療間接費の配賦額が延べ患者数により増減することを知る必要があります。ある固定費を100人で除して配賦するのと、200人で配賦するのでは、一人当たり固定費の額が異なることはいうまでもありません。

 増患したとたんに患者一人当たりの利益は増加します(もともとDPCの調整係数等で一人当たり利益が増加しても、患者数が減れば、絶対収益(収益の総額)は少なくなりますし、配賦される固定費も増加して、ダブルで利益が減少することになります。DPCが増患対策をないがしろにできない大きな理由の一つです)。

 いずれにしても、まず部門別や診療科別損益計算を実施し、のちに患者別疾病別減価計算により患者さん、疾病毎の利益を把握する。そして、どこをいじれば原価が低減するのかについて課題を出し、その課題をそれぞれの部署が解決するように活動することが必要です。

 そのことにより、一人当たりの利益が確保され、さらに全体として多くの患者さんを診ることができるようになれば、さらに病院全体としての利益をも増加させることができるようになります。

 なお、この場合には、ブリーフィングシステムを導入し、作成した管理資料により毎月院長と診療科のトップが面談を行い、どこに先月の診療の問題があったのか、そしてどうすればよいのかについて徹底的に議論をしたうえで、当月の治療に当たるといった体制をつくりあげ、外来・入院の全体的マネジメントを行える体制を整備していくことが必要です。

 ここでのポイントは、管理会計により医師に診療データを提出し、医師が自分の仕事を反芻できる環境をつくりあげていくことにあります。損益構造や原価構造を把握する、そしてそれをベースに医師と議論する。
こうした環境をつくりあげることが最終的な第2段階のテーマとなります(続く)。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」


投稿者 石井友二 : 01:58 | トラックバック

2008年09月01日

勝ち残る5段階で進めるDPC戦略(2)

2.5段階戦略について
DPCに踏み込んだ病院が、どうすれば成果をあげられるかについて、当社では、5段階での戦略を提案しています。

5段階は次のものです。
第1段階  基礎の確立

第2段階  病院原価の計算による自院の損益構造認識

第3段階  質を向上させるための利益プールからのコスト配分

第4段階  自院の強みを伸ばすことでの利益確保

第5段階  ポートフォリオにより自院の診療内容をより明確にする

5段階で、DPCをどのように進めていくのかについて説明をします。

〔第1段階 基礎の確立〕
いうまでもなくDPCの導入目的は、高密度で質の高い合理的な医療を行うことです。高密度というのは、在院日数を短縮することですし、質の高いということは、治療成果を高め、医療の質を担保するということでしょう。そして合理的な、ということは、できるだけ無駄のない、効率的な医療を行うことを意味しています。
このように、DPCでは、高い治療成果をもって早く退院する、ということを目指しているのです。

なお、在院日数が短いだけ、多くの患者さんを確保しなければベッドが空いてしまいますから、一方で、増患することが求められています。「たくさんの患者さんに来院してもらい、早く退院してもらう」というコンセプトが成り立ちます。

このような考え方のなかで、DPC病院は、以下を実施することになります。
①DPCと出来高の比較による不必要な行為の取りやめ
ⅰ)他科受診の禁止
ⅱ)持参薬の管理
ⅲ)検査・撮影の外来化
ⅳ)ジェネリックへの転換

②他病院とのベンチマークによる課題発見及び解決
ⅰ)抗生剤投与期間の短縮
ⅱ)在院日数の短縮

③システム構築
ⅰ)パスによる計画的医療 
ⅱ)リスクマネジメント強化によるリスクマネジメントの徹底
このようなことが、基本的なDPC実施事項であることは、多くの病院で認識をしています。

在院日数を短縮するということは、入退院が繰り返されることですから、現場はとても忙しくなるため、無駄のない仕組みやスタッフの高いスキルが要求されます。したがって、
ⅲ)制度整備
ⅳ)業務プロセス見直し
ⅴ)マニュアル整備及び運用
ⅵ)教育システム整備
ⅶ)看護プロセス個々の行為見直し
ができているかどうかが問われることになります。
さらに、最も重要なことですが、
④増患のための仕組みづくりも必要です。

増患はそもそも、
ⅰ)本質的にブランドをもつことによる増患
ⅱ)連携による増患
ⅲ)プロモーションにより見えていないところを見せることによる増患
が考えられます。

ブランドは、信頼、信用、安心をつくりあげることであり、DPCを通じて、医療の質を向上させていくことの帰結として得られるものです。また連携は意図的にさまざまな取り組みをして、病病連携や病診だけではなく、病介をも含めた連携を意図しなければなりません。病介では、地域支援協議会や訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所等との連携をとる必要があります。

プロモーションについては、Drのビデオ放映やセミナーの開催、会報の作成、ボランティア活動、健康相談会の開催など、医療からの広告宣伝活動を病院としてどのように行っていくのかを徹底的に実行することが必要です。

いずれにしても、第1段階では、DPCの趣旨や目的を理解し、どのようにDPC病院としての基礎をつくりあげていくのかが戦略ポイントとなります(続く)。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」


投稿者 石井友二 : 21:14 | トラックバック