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2009年03月15日

DPC5段階進化説について

昨日3月14日は、日本DPC協議会乃木坂勉強会が国際医療福祉大学大学院乃木坂校で開催されました。

 山本先生の司会で、高橋泰先生がお話され、そののち私が「病院原価計算の考え方とDPC病院でのっ実例」という講演を行い、次にグローバルヘルスコンサルのご存じアキよしかわ先生が「戦略的実証分析、協議会有志による損益・DPCデータの分析」という講演を行いました。

 私は、ホワイトボックスが過去研究してきたDPC病院は5段階で成長するという仮説を、上記のテーマのなかで説明しました。1段階は、DPCと出来高の比較や、他の病院とのベンチマークにより医療行為をやめていくプロセスです。

 この段階では自院にはどのような課題があるのか、すなわち、一入院位置治療に徹しているのか、無駄な行為はないかどうかを、医療行為別に詳細に検討して、それらを適正なかたちに変えていくという作業を行います。包括制度のなかで、高額検査や手術室のなかでとれる出来高を重視し、他の行為で、従来出来高であればおこなっていた無駄な投薬や検査を排していく過程でもあります。

 次に2段階ですが、この段階は、上記を踏襲し術前検査の外来化、持参薬管理、他科受診禁止、ジェネリックへの転換、抗生剤の見直し、リスクマネジメントへのより一層の取り組み等、DPCの特徴を考慮した外形的にコストをどう削減していくのか、同時に医療の質をどう担保するのかといったプロセスをいいます。

 多くの病院はこの段階で懸命に活動しているのではないでしょうか?

 3段階では、病院原価計算を導入し、管理単位での生産性をあげるために数字からのアプローチを行います。部門別損益計算を実施することにより、直接部門(外来・病棟)にコストを収斂させ、一人当たり収益や原価、利益を算出。部門の特性を理解するという段階です。
 多くの病院は病院全体のPLとBS(BSは重視せず、キャッシュフローについてもあまり考慮していないきらいがありますが…)をみて経営判断をしています。

 我々会計士からいえば、税理士さんのレベルでの財務分析を行いことで対応しながら、一方で、医療の質向上のためのあらゆる取り組みを行うものの、個別にそれを実行するだけで、結果どのような経済的成果があがったのかをモニタリングしていないことが多いと思います。

 それでは同じ行為を行うときに、経営資源一定とした単位当たり生産性をコントロールすることができません。Aという作業に10時間かけてどのような成果を得るのか、Bという作業に1カ月かけて何を得るのか、いったとがそのときのニーズで動き、時間軸での管理やコスト面での管理が行われなければ、
一生懸命仕事をしていのに財政的には改善しないということになりかねません。

 確かにそのときに必要なことは行わなければなりません。しかしプライオリティをつけて行う。そのスケールは時間、コスト、得られる経済的効果であったりするのです。勿論、医療の質を脅かす行為を生む
仕組みの修正や改革は、これを排除するものではありません。レベルの高いアクシデントに対して直ちに取り組むことはとても重要です。明らかに爾後のロスを抑止し、繰り返しややり直し、都度の対応をなくすことは経済的にみても有効です。

 しかし、医療の質を向上させるかどうかの判断も行わず漫然と作業をしてしまうことが現場にはたくさんあります。これらに留意して日々の行動を行わなければ、私たちはこんなに一生懸命やっています、といった意見により改革を有効に進めることができなくなるのです。

 たとえば、営繕や購買で各部署からオーダーがあり、あそこを直す、ここの修理をする、これを買ってくればこれを取り換えて欲しいということに随時こたえていることはその典型です。MEが医療機器の修理をする、メンテの頻度を高めなければならない、といったことも類似しています。

 これらのオーダーの履歴をとり、どの部署がどれだけの時間とコストをかけたのかを一覧とし、また進捗しているものについてはその経過を病院が理解し、全体の費用対効果を測定してくことや、その数値を開示し、当該部署のコスト意識を醸成したり、医療の質と財政のバランスをどのようにとれば、高密度で質の高い、合理的な医療が行われるのか(これはDPC病院が求められている基本的なテーゼです)。
 こうしたモニタリングを行う必要があるのです。

 部門別損益計算で、上記を考慮したABC(アクティビティベイストコスティング)を行うことができれば、明らかに部門のポテンシャルがみえてきます。この部署は、この成果のためにこれだけのコストをかけている、ということがそれです。

 疾病別原価計算を行いながら、どのような治療が地域に求められているのか、行う必要があるのか。
そのためには経営資源をどう活用し、どのように能力を高め、求められる医療を行っていくのか、そのためには利益を出し、組織を維持していくことが必要である。だから、行為データや部門ごとのデータをとり、最大限の成果をあげていこう。

 このように考えるトップマネジメントが少ないと思います。というか、医師にそれを求めるのではなく、事務部長(事務長)のもと、専門職である企画室や少なくとも経理がこれらの情報をコントロールして、院長やしかるべき権限をもつ者へ報告をしていく必要があるのです。
 
 患者別疾病別原価計算を行うことで、現状の治療コストを理解することも重要なテーマです。まずは原価管理手法を身に着け、ケースミックスをどのように行っていくのか。そのための情報を診療軍部類別にどのように掌握していくのか。3段階の重要なポイントであるということができます。組織全体のポテンシャルを最大限活用するためにも、管理単位当たりのコスト分析を確実に行うこと。

 それを怠る病院はDPCをクリヤーすることが絶対にできません(続く)。

「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 2009年03月15日 19:28

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