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2009年07月10日

業務改革について(3)

5.業務改革と業務改善
 業務改革と業務改善は区別がつきづらい定義です。業務改革というときには、業務改善が含まれていることが多くあります。あえていえば構造的な変化をもたらすものが業務改革であり、表層的な変化を中心として意味するものが業務改善であるかもしれません。

 しかし、使い方によっては業務改革と業務改善が同義でつかわれることもあり、明確に峻別されていないことも事実です。わかりやすいように今回は前者すなわち、業務改革は構造的変化・変更を、そして業務改善は表層的な変化・変更を行うことを意味する、と定期づけて活動をしていきたいと考えています。
 
 なお、構造的ということは、病院として、あるいは制度として、さらには大きな仕事のながれとしての変化をいい、表層的ということは、その場で修正できること、何かを簡単に変えることができることを言っています。

6.具体的な手法
 それでは意図した計画的な業務改革をどのように行っていくのかについて説明しましょう。以下の手順でこれを行うことになります。
 ①ピッキング
  各部署での改革テーマを抽出する
 ②グルーピング
  それぞれのテーマを相互に検討し、同一の根源によるものは整理する
 ③スコアリング
  改革すべきテーマについてスコアを付け、優先順位を決定する 
 ④オペレーティング
  決定した事項を③にしたがってWG主導で各部署が実施しやすいよう誘導する
   
 (1)ピッキング
 各部署で明らかな課題をブレーンストーミングやアンケート、あるいは過去の資料からチェックして抽出する。ここでの抽出作業が業務改革の質を方向づけてしまうので留意が必要。なお、網羅的に活動することを避け、サンプリング的に抽出した部署の課題を掘り下げて改革手順を習得することで次につなげるという方法を採用するのであれば、それも一つの方法である。

(2)グルーピング
 課題のなかには、部署間をまたぐ問題や課題があるケースが多い。また、バラバラに各部署で問題が発現しているが、その原因が一つであることもある。それらを整理し、問題や課題を並べなければならない。できるだけ絞り込みを行っていくことが必要となる。
 
(3)スコアリング
  ①利益影響度(利益に影響する額により531)
  ②複雑性(いくつかの部署が複雑に絡んでいる度合いより531)
  ③緊急性(今すぐ解決しなければならい度合いにより531)
  ④解決困難性(解決が難しい度合いにより531)
  ⑤解決コスト(解決するために必要とするコストにより135)

(4)オペレーティング
 かたちとしてWGがすべてを担うことは難しい。WGは、上記(1)から(3)までを遂行し、実行は病院の関連部署や幹部がこれを議論し、一つ一つ解決をしていくことになる。
WGは、このプロセスに関与し、問題解決を関連部署が行うにあたり、アドバイザリー的に側面支援を行うことが求められる。関わり方については議論が必要。

7.まとめ
 各部署が自助的に実施すべき業務改革を体系的に支援していくことが「業務改革サポートシステムWG」の目的です。上記をご理解いただき、現状の業務をすべて見直し、あるべきかたちに変えていくための活動を徹底して行わなければなりません。

投稿者 石井友二 : 02:47 | トラックバック

2009年07月07日

日の丸理論

今日は、大阪のK病院の事務局長と部門別損益計算のミーティングをしていました。途中で、事務局長が、循環器の医師がきてカテが増えたので予想よりも収入が増加した。結局は自分たちが経営改革を徹底して行って国旗の色を真っ白にするけれども、日の丸の赤い部分は医師の力だという話をされました。同席していたR総研のIさんは、これをただちに日の丸理論というように名づけましたが、まさにその通りであると思います。

 経営方針だ、目標管理だ、ブリーフィングだ、KPIだ、原価計算だ、パスだ、マニュアルだ、教育だリスクマネジメントだ、業務改革だ、なんだかんだといっても、結局は国旗の白い部分をより白くするだけでのこと。旗として成り立つには、真っ赤な日の丸をあるべき大きさにしていく医師の力が必要。それもスタードクターが一人来るだけであっというまに業績が変わる。
ということでした。

 実際、S市のS病院は、大学教授が来て心臓の手術を始めた途端業績は上向きましたし、T病院の内視鏡のスペシャリストが来た途端、明らかに業績は伸びました。また、逆にY病院ではO先生が辞めた途端売上2億円マイナス…。間違いなく医師の力は絶大です。

 事務局長は、しかし、こう付け加えました。真っ白な部分が黒だったりグレーだったりすれば赤い丸はつくれない。医師は病院の雰囲気やスタッフの状況をよくみているものだ。我々はできるだけ真っ白に旗を白くする、そして赤い丸が鮮明に見えるよう努力し続ける必要がある、と。

 折しも、7月6日発売の日経ビジネスに、医療崩壊のウソという記事が特集で載っていました。経営の力により病院は大きく変革する。業績も改善する。これはすなわち地域医療に貢献できる機会を増大することであると思いました。医療崩壊は経営改革により十分立ち直ることができるといつも叫んでいる私は、こうした特集があると、少し溜飲を下げるのでした。

 京都に移動し、これからK銀行との医療勉強会が始まります。私たちホワイトボックス株式会社は、これからも、医療崩壊を阻止する対応への、小さな積み重ね活動を進めていくため、努力していきたいと考えています。


「よい病院よくない病院の見分け方同時掲載記事」

投稿者 石井友二 : 00:29 | トラックバック

2009年07月02日

業務改革について(2)

(3)看護プロセス
 観察→診断→計画→(実施)→記録→(行動[修正])→退院要約というながれをもった看護プロセスは、そのなかで看護として行うべきことを決定し、課題を抽出し、課題を解決することで目的を達成することを意図しています。

課題を解決する過程においては、個人が合目的に動くことだけではなく、仕事の仕組みの変更が行われることがあります。看護体制やシフトへの工夫ということだけではなく、看護プロセスを回していくなかで、仕事そのものの業務改革が行われることにより、看護を行いやすい体制が整備されることになります。

3.医療全般における業務改革の必要性
 上記にあげた事例だけではなく、現場においてはシステムのなかで、あるいはシステムの埒外(らちがい)で、大小さまざまな業務改革が行われています。

業務改革という定義はともかくとして、本来的にある、「何かを変えたいという」人間の思いが仕事のなかに自然に、そうした機能がビルトインされているといってよいでしょう。

 しかし、それが自然に行われることを待っていては成果を計画的にあげていくことはできません。とりわけ今回のようにDPC制度が導入され、医療全体の仕組みが見直されようとしている現状において、自然に何かが変わる、ということに身を任せるだけでは大きな医療制度改革のながれから取り残されることは明らかです。

 まさに、DPC病院は高密度で質の高い、合理的な医療を目指せという国の方針があり、まさに急性期医療を実施するDPC病院として業務改革を外すことはできないということがいえます。

繰り返しになりますが、DPCを導入するということ、DPC適用病院になるということは、医療の質をより高く、そして合理的な仕事の仕組みをつくりあげるということであり、意図的かつ計画的な業務改革を行うことは、その意味でDPC病院の必須実施事項であるということができます。

4.医療の質と業務改革の関係
  ここまでの記述により理解できたと思いますが、業務改革により高い医療の質を担保することができます。仕事の仕組みを常に見直し、常によりよいものにしていくことにより、病院は、限られた経営資源(時間、情報、ヒト、モノ、カネ)をうまく活用することができるようになります。

同じ経営資源で生産性が向上するということは、よりよい医療を数多く提供することができるようになることを意味しています。

 なお、医療の質は仕事の仕組みの見直しだけではなく、個人のスキルが大きく影響します。仕事の仕組みの見直しだけではなく、同時に個人のスキル向上のための取り組みが不可欠です。業務改革は医療の質を向上させるための、いわば半分の取り組みを行うに過ぎません。

徹底的な教育体系の構築がおこなれるとともに、実質的な個人のスキル向上のための取り組みが意図されなければなりません(続く)。


投稿者 石井友二 : 00:42 | トラックバック